これまでの記事では、レンタカー回送という副業の仕組みや契約の違い、
そして業者選びのポイントについて、
私の体験を交えながらお伝えしてきました。
今回はその続編でありシリーズの締めくくりとして、
「実際にやってみたらどうだったのか?」というリアルな体験談をお届けします。
前回の記事はこちら
副業レンタカー回収は稼げる?40代会社員が体験した報酬のリアル~契約するまで~
1日の流れは?運転以外にどんな作業がある?やりがいは?大変だったことは?
そして皆さんが最も気になっているであろう
「どれくらい稼げるのか」についても、包み隠さず赤裸々にご紹介します。
さらに実際にやってみて
「これはあって助かった!」という便利アイテムも紹介しています。
レンタカー回送という副業が自分に向いているかどうか、
この記事が判断材料の一つになれば幸いです。
実際の回送業務の流れ

スケジュール管理から仕事の依頼が来るまで
まずは自分のスケジュール管理ですが、
これは前回お伝えした通り業者によって期限が異なります。
1か月まとめて提出する場合や1週ごとに提出する場合もあります。
私の場合は基本はまず1か月単位で提出し、
追加を希望したい場合は都度連絡を入れる形となっています。
次にどのタイミングで業務依頼が来るかですが、
これも同じく業者によって異なります。
私の場合は前日のお昼までに連絡が届きます。
ルートは業者指定で来るのでこちらからの変更はできない仕組みです。
スケジュール管理とは別に大事なのは常日頃からの健康管理です。
体調悪いままでの運転は非常に危険です。
本業があっての副業ですから働きすぎによる疲れも決して軽く考えてはいけません。
副業はおろか本業の仕事にも影響が出てしまいますからね。
多すぎず少なすぎずを心がけたほうが良いでしょう。
実際の1日の回送業務内容
では実際の1日の流れをご紹介します。まずは大まかな流れです
自宅→営業所(車引き取り)→運転→営業所(車納品)→次の営業所(なければ帰宅)
の繰り返しとなります。
もう少し詳しく説明します。
車の引き取りはただ車を受け取るだけではありません。
車両情報やナンバー、出発・到着地点、給油や洗車の有無などを確認し、
必要に応じて書類も作成します。
そしてとても大事な確認が車体のキズやへこみなどのチェックです。
ここを怠ってしまうといざ納品した際にこの確認を怠ると、
相手の業者から納品時に、
「こちらが傷をつけたのでは?」
と疑われてしまうリスクがあります。
当然責任を問われれば修理代などの請求を受けるかもしれません。
またきちんとチェックすることで相手から
「ちゃんと仕事しているな」と信頼を得ることにもつながります。
チェックは相手業者と一緒に確認する場合もあります。
また車の引き取りは営業所が基本となりますが、
カーシェアの場合は駐車場で車を引き取ることがあります。
この場合は1人で行いますのでより入念にチェックするとよいでしょう。
それぞれの確認が終わったらいよいよ運転となります。
当たり前ですが安全運転第一です。
ほとんどの場合納品時間に余裕がありますから急いで運転する必要はないでしょう。
そもそも早くに納品しても報酬は変わりませんし、
賞金レースをしているわけではありませんからね。
なお依頼によっては給油や洗車希望があります。
納品先に着くまでに対応してください。
対応しなかった場合はペナルティを受ける場合があるので注意しましょう。
納品先に到着したら業者と一緒に書類と車体のキズを再確認し、
問題がなければ納品完了となります。
業者によっては、キズの状態を写真で送信するよう求められる場合もあるようです。
(ちなみに私自身は経験していません)
このあたりの対応方法も事前に業者からの指示に従うようにしましょう。
運転中の注意点と工夫
移動中に気をつけたいポイントはいくつかあります。
まず大前提として安全運転は何よりも最優先です。
レンタカー回送の業務とは、
「指定された車両を、指定された目的地まで、無事に届けること」。
この当たり前のルールを絶対に忘れてはいけません。
業務中の事故はもちろん、
速度違反や信号無視といった違反行為は絶対に避けるべきです。
警察に止められたり事故によって納品ができなくなった場合、
自分自身だけでなく業者にも大きな迷惑がかかります。
納品先までのルートはカーナビの使用が基本です。
多くの業者ではカーナビの使用は許可されており、
目的地の登録やルート確認に活用できます。
スマホでも検索は可能ですが当然ながら運転中の操作は禁止です。
出発前にルートを確認し安全運転を徹底しましょう。
また車内のマナーにも気を配る必要があります。
飲食は禁止されていないことが多いですが、
私は飲み物はOK、食事は控えるようにしています。
食事は食べかすやゴミが出るうえにおいが車内にこもるのを避けたいからです。
ほとんどの車両が禁煙仕様になっているため、
喫煙される方は事前に済ませるか、
途中で適切な休憩場所を見つけて喫煙するようにしましょう。
たとえ車外で吸ったとしてもにおいは服や体に残ることがあります。
乗車前には消臭スプレーなどを使っておくと無難です。
なお車を引き取った際にすでにゴミが残っている場合もあります。
この場合は勝手に処分せず業者に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。
実際に受け取った報酬と稼げた金額
1件あたりの単価は
回送業務を副業で始める際、まず気になるのは、
「1件あたりどれくらいの報酬がもらえるのか?」という点ではないでしょうか。
私が実際に受けていた案件では、
1件あたりの報酬は1,000円〜2,500円程度が相場でした。
金額は、走行距離・時間帯・依頼元の業者によっても異なります。
実際の私の例を見てみましょう。
- ~15km:1,500円
- ~20km:1,800円
- ~30km:2,200円
- ~40km:2,500円
※この単価は走る地区などの条件によって多少上下することがあります。
都市部と郊外では1時間あたりに走れる距離も異なりますが、
だいたい1時間で20km走れたらまあまあ効率よく走れたかなという感覚があります。
それを踏まえてこの単価を見て「割がいい」と感じるか、
「割に合わない」と思うかは人それぞれでしょう。
では次の章で1日あたりでどれくらい稼げたのかを実体験をもとにご紹介します。
1日あたりいくら稼げたか
では実際に、私が副業として取り組んだある1日の実例をご紹介します。
基本的に1日に依頼される件数は2件がほとんどで、
3件以上になることはかなり稀です。
以下は、ある日の2件回送のケースです
- 1件目:15kmの回送 → 1,500円
- 2件目:30kmの回送 → 2,200円
合計 :3,700円
この日の実働時間は、運転・確認作業・書類作成などを含めて約4時間。
つまり時給換算で言えば約925円程度となります。
ではもっと長距離の回送を受けたほうが効率が良くなるかというと、
必ずしもそうとは限りません。
例えば30kmの単価(2,200円)と40kmの単価(2,500円)の差はわずか300円です。
しかしプラス10kmの走行距離は、
交通状況によっては1時間近くかかることもあります。
つまり距離が長くなる=効率的に稼げるとは一概に言えず、
案件の条件や移動時間によってはかえって効率を下げるケースもあるのです。
副業としての時給換算と効率のリアル
もう1点考えておくべき視点があります。
それは「移動にかかる交通費」です。
以前の記事でもお伝えした通り、営業所までの交通費は基本的に自己負担。
つまり報酬金額の中に交通費も含まれていると考えるべきです。
この日のケースでは移動にかかった交通費が約700円。
報酬の合計は3,700円でしたが、
差し引くと実際に手元に残ったのは約3,000円になります。
さらに移動にかかった時間も忘れてはいけません。
この日は往復で約1時間半の移動。
業務全体で使った時間は約5時間半でした。
つまり5時間半かけて実質3,000円の収入。
これが実際私が稼いだ報酬のリアルです。
次の記事ではこうした金額面とは別に、
この仕事の「副業としての魅力ややりがい」についてお話ししていきます。
「お金以外に得られる価値ってあるの?」という方に向けて、
リアルな視点でお伝えします。
副業としての魅力とやりがい

運転が好きな人には癒しと気分転換
もしあなたが運転が好きな方であるなら「運転するだけの時間」を楽しめると思います。
私も運転そのものが好きなので、
ラジオや音楽をかけながらの運転はちょっとした気分転換や、
ストレス解消になっている面があります。
プチドライブといってもいいかもしれませんね。
仕事でありながらストレス解消にもなる――
そんな不思議な感覚を味わえるのは運転が好きな人の特権かもしれません。
いろんな車を運転できる楽しさ
この仕事のもうひとつの魅力は普段なかなか乗れない車を運転できることです。
普段私たちが運転するのは自家用車が中心ですが、
レンタカー回送では、軽自動車からハイブリッド車、
ミニバン、SUVまで日によってまったく違う車に乗る機会があります。
中には納車間もない新車を運転することもあり、
「今の車ってこんな機能があるんだ」と驚くことも。
そういった新しい発見があるのも、この仕事ならではの楽しさです。
また加速感や車幅感覚、
乗り心地といった車種ごとの違いを感じるのも面白いポイントです。
「次はどんな車に乗れるんだろう?」と、
仕事前にちょっとワクワクするのもこの副業ならではの魅力だと感じています。
知らない土地を訪れる面白さと発見
引取先や納品先は毎回異なる場所になるため、
地元以外の街へ行く機会が自然と増えていきます。
普段は立ち寄らないようなエリアに足を運ぶこともあり、
その土地の雰囲気を感じたり、
飲食店をのぞいてみたりするのもこの仕事のささやかな楽しみのひとつです。
たとえば「こんな場所にラーメン屋があるんだ」と発見があったり、
知らなかった街の風景を見て新鮮な気持ちになったり。
観光するほどの時間は正直なかなか取れませんが「ちょっとした旅気分」は十分に味わえます。
もし気になった街があれば後日ゆっくり訪れてみるのはいかがでしょうか。
副業のついでに思わぬお気に入りの街に出会えることもありますよ。
やって感じた「仕事に向かない方はこんな人」
一方で実際にやってみて
「この仕事は合わないかもしれない」と感じるタイプの方もいます。
特に以下のような傾向がある方は注意が必要です
- 長時間の運転が苦手
- 腰や肩などに持病がある
- 見知らぬ道を走るのが不安・ストレスになる
- 車幅感覚に自信がなく、狭い道の運転が怖い
- 普段あまり運転しておらず、慣れていない
- 細かい確認(キズのチェックなど)を面倒に感じる
この仕事は特別なスキルや資格が不要で比較的気軽に始めやすい副業ではあります。
ですが運転自体に対して強い不安や苦手意識がある場合は、
別の副業を検討した方がストレスが少なく済むかもしれません。
向き不向きは誰にでもあるものなので、
自分の特性に合った働き方を選ぶことが大切だと感じています。
あると便利!回送業務で役立った持ち物リスト
ここからは業務を行う際にあった方がいいと思ったアイテムを紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
モバイルバッテリー
仕事中は業者との連絡や業務報告、地図アプリでのルート確認など、
スマホは欠かせない存在です。
そんなスマホのバッテリーが切れてしまったら…当然、仕事になりません。
だからこそモバイルバッテリーは回送業務における必須アイテムのひとつです。
1台は必ず持っておいた方が安心です。
私は「Anker」のモバイルバッテリーを使っていますが、どのメーカーでも構いません。

あらたに購入しなくても、
普段使っているモバイルバッテリーをそのまま流用すれば十分です
車体キズ確認用のペンライト
引き取り時や納品時には必ず「車体のキズチェック」が求められます。
日中ならまだしも夕方以降や悪天候の日は、
どうしても細かいキズが見えにくくなります。
また日中であっても必ずしも明るい屋外で確認できるとは限りません。
営業所によっては屋内駐車場での車両引き取りになることもあり、
そういった場所では意外と照明が暗く確認が難しくなります。
そこでおすすめしたいのが小型のペンライトです。
私は「GENTOS」というメーカーのペンライトを使っており、
もともとは趣味のキャンプで愛用しているものです。

GENTOS製品は明るさや性能に定評があり日本製ながら価格も手頃。
普段ペンライトを使う機会がないという方も、
防災用としても役立つアイテムになるので1本持っておくと何かと便利です。
消臭スプレー
車両によっては前の利用者のニオイが気になることがあります。
たとえばタバコ、飲食物、香りの強い芳香剤など、
思った以上に残っていることも少なくありません。
私は香料のない塩素系の消臭スプレー「セイバープラスZ」を使っています。

このスプレーの良いところは、
香りが一切ないため車内に別のにおいを残さないこと。
さらに塩素系なので消臭と同時に殺菌効果も期待できます。
普段使いとしても部屋の消臭や除菌に使えるので、
生活環境の衛生維持にも役立ちます。
もちろん他の消臭スプレーでも構いませんが、
香りの強すぎるものは車内に残ってしまうため、
できるだけ無香タイプや弱香タイプを選ぶのがおすすめです。
ICカード・ETCカード
自宅から営業所までの移動や、
複数件の業務を組み合わせた際の営業所間の移動、
そして納品後に自宅へ帰る際の交通費、
これらをスムーズに支払うには交通系ICカードを1枚持っておくととても便利です。
また依頼内容によっては給油や洗車の立替えを求められることもあります。
そんなときにもICカードが使えると支払いがスムーズになります。
さらにルートによっては高速道路を利用するよう指示され、
利用料金が支給されるケースもあります。
その場合に備えてETCカードを用意しておくのも選択肢のひとつです。
ただし高速代を立て替える案件はごく稀ですので、
ETCカードは必須というより「持っておくと便利な場合もある」程度に考えておくとよいでしょう。
歩きやすい靴と動きやすい服装
必須アイテムとは少し違いますが、
どんな服装で業務を行うかも意外と重要なポイントです。
というのもこの仕事は「運転がメイン」と思われがちですが、
実際には歩く距離が思った以上に多いのです。
たとえば最寄り駅から営業所までの移動、納品後の移動、車両点検時の歩行など、
地味に足を使う場面がたくさんあります。
「営業所に行けばその場に車がある」と思われがちですが、
実はそうとも限りません。
特に駅チカの営業所ではスペースの関係上、
営業所とは別の場所に車両が保管されていることも多く、
徒歩10~20分程度の距離を歩くことも珍しくありません。
さらに車両のキズチェックでは、
車体の下部を確認するために膝を地面につけることもしばしば。
天候が悪ければ服が汚れることもあるため、
動きやすく多少汚れても気にならない服装を選ぶことをおすすめします。
靴も同様に長い時間歩いても疲れにくいスニーカーなどが向いています。
まとめ:副業としての価値とは
正直簡単に楽には稼げない
副業=「空いた時間でサクッと稼げる」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
ですがレンタカー回送は決して“簡単に・楽して稼げる”副業ではありません。
もっと辛辣に言います。
正直稼げる副業ではありません。
もしあなたが副業として始めるなら、
「報酬」ではなく「報酬+何か他の魅力」
を感じなければ確実に続けられる副業とはなりえないことでしょう。
特別なスキルは必要ないのはメリット
この仕事の大きなメリットは特別なスキルや資格が必要ないことです。
必要なのは普通自動車免許と基本的なマナー、そして責任感くらい。
では、ほかの副業と比べてみてましょう。
たとえば動画編集を副業として始めようとする場合――
すでにスキルがあれば別ですが、
スキルがないなら学ぶための時間や教材費がかかります。
場合によってはセミナーへの参加などまとまった出費も必要になります。
その学習期間中は報酬が一切発生しない時間が続きます。
仮にスキルを習得できたとしても、
そこから安定して案件を得て報酬を得るまでにはさらに時間がかかることでしょう。
それに対してレンタカー回送は案件を受ければ必ず報酬が発生します。
報酬額自体は決して高くはないかもしれませんが、
「始めたその日からお金が発生する副業」というのは、
ひとつの大きな魅力ではないでしょうか。
拘束時間が長いのがネック
確かに依頼を受ければ報酬を得られることに間違いはありませんが、
注意したいのは思っている以上に時間がかかるという点です。
- 営業所への移動時間
- 車両チェックや書類記入
- 次の案件が来るまでの待ち時間
- 業務後の帰宅移動
これらを含めると1件だけでも半日近く拘束されるケースもあります。
スケジュール管理と体調管理をしっかりと行わないと、
本業や家庭との両立が難しくなることもあるので要注意です。
ではなぜ今も続けているのか「私なりの理由」
ここまで記事を読んで、
「そんなに非効率なら、なぜ今も続けているの?」と思われた方もいるかもしれません。
理由はいくつかありますが、まずは運転が好きというシンプルな気持ちです。
音楽やラジオを聴きながらのドライブは、
私にとってちょっとしたストレス発散の時間にもなっています。
また普段はなかなか乗れないような車に乗れることも密かな楽しみのひとつ。
新車や高グレードの車を運転する機会もあり、
「今どきの車ってこうなんだ」と感じられるのもこの仕事ならではの魅力です。
さらに私は会社員として働いているため、
時間ではなく“業務単位”で動ける副業の方が都合がいいという背景もあります。
以前の記事でもお伝えした通り、
会社員として副業できるのは週40時間以内までとされており、
これ以上の時間労働は会社の規定に抵触してしまいます。
その点レンタカー回送のような委託型の副業は、
「空いた1日だけ」「この週は少し余裕がある」
といった柔軟な働き方ができるのが魅力です。
そして最後に――
非効率であることは十分に承知しています。
それでも現在は次に挑戦しようとしている副業の準備期間でもあり、
そのための活動資金を少しでも捻出するという目的もあってこの仕事を続けているのです。
ここまで3回にわたりレンタカー回送という副業について、
私自身の実体験をもとにその実情や魅力、
そして現実的な側面までお伝えしてきました。
「やってみようかな」と思っていた方にとって、
単なる業務内容や報酬だけでなく、
見落としがちな点や注意点など“負の部分”も含めて知るきっかけになれば幸いです。
レンタカー回送は、決して「楽に稼げる」副業ではありません。
大きく稼げる副業でもありません。
ですが報酬以外の魅力を感じられたり柔軟に働きたいと思う方にとっては、
きっと相性の良い副業のひとつになると思います。
もしこのシリーズがあなたの副業選びのヒントや判断材料になったのなら、
書いてきた意味があったと感じています。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。