「なんで私ばかりに仕事が回ってくるの?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
仕事の手を抜いているわけでもなく、
それなりに仕事を抱えていると思っているのに、
気がつけばいつも自分のところに業務が集まってくる…。
頼られているに悪い気はしないけど正直ちょっとしんどい。
そんな葛藤を抱えている方は意外と多いものです。
本記事ではなぜできる人に仕事が偏るのかを、
上司の視点からの本音を交えながら解説します。
「出世したいわけじゃないけど、関係を悪くしたくない」
「頼られるのがつらい時、どうすればいいのか知りたい」
そんなあなたが、自分を守りながら納得のいく働き方を選べるように──
できる人だからこそ悩むそのモヤモヤのヒントになれば幸いです。
筆者はこれまでに複数店舗で薬局長を経験し、
その後はエリアマネージャーや課長職として部下をマネジメントしてきました。
これまでの経験として自分自身も仕事が集まりやすい側でもありましたし、
部下に仕事を任せる立場でもあります。
本記事では、そうした現場経験から感じた上司の本音をもとにお話ししています。
「上司があなたに仕事を任せる3つの理由」
まずは一般的に言われる上司が部下に仕事を任せる理由をお伝えします。
おそらくどの業種もそう変わらないかと思います。
「任せて安心」だから仕事が集まる
仕事を任せる上司の一番の判断基準は、
「この人に任せれば安心かどうか」です。
これはスキルの高さだけでなく、
報連相がしっかりできる、
ミスがあってもリカバリーができる、
期限を守るなど信頼に足る行動ができる人に対して自然と持つ感覚です。
上司としては、
「丁寧に説明しなくても理解してくれる」
「任せたら最後までやってくれる」
そんな部下に頼りたくなるもの。
逆に言えば、仕事を振られない人は、
「フォローに手間がかかる」
「言い訳が多い」
「指示待ちすぎる」
など、任せるリスクが高いと見られている可能性もあります。
あなたに仕事が集中するのは、もちろん仕事が出来るからですが、
それだけではなく「安心できるから」というケースも少なくありません。
成長してほしいからあえて任せている
上司の中には「この人にもっと力をつけてほしい」という意図で、
あえて仕事を多めに振る人もいます。
とくにポテンシャルがある・今後チームの中心になってほしい──
そう考えている部下には、
あえて難しい仕事や大きめの案件を任せることがあります。
これは「投資」としての任せ方であり、
負担に見えても裏では期待の表れであることもあります。
とはいえ、上司からその意図が説明されないと、
受ける側は「なんで私ばっかり…」と不満や不安を感じてしまうのが現実。
上司の考えがわかるだけでも、
仕事の重さを少し前向きに捉えられるきっかけになるかもしれませんね。
チーム内バランスの影響で偏りが出ることも
仕事の配分は、必ずしも「平等」「公平」ではありません。
たとえばチームにまだ慣れていないメンバーがいれば、
その分他のメンバーに負担が寄りますし、
繁忙期やプロジェクト状況によっても「偏り」は出てきます。
また、会社の風土や上司のマネジメントスタイルによっては、
「できる人に集まるのが当たり前」
「任せやすい人に集中させる」
という暗黙のルールが存在することも。
こうした背景により、
あなた個人の問題ではなく環境の影響で仕事が集まっている可能性もあるのです。
実際はこう考えている?あなたに仕事を振る上司の5つの本音

ここからは、もう少しリアルな上司の本音についてお話しします。
あくまで全員がそうとは限りませんが、
マネジメントする立場として見えてくる「正直な理由」もあります。
ちょっとドキッとする内容もあるかもしれませんが、
知っておくだけでも気持ちの整理がつくヒントになるはずです。
できない人には振れない…それだけのこと
上司としては
「誰に、どんな仕事を、どこまで任せるか」
は常に悩みどころです。
理想は全員に均等に振ることですが、実際にはそうもいきません。
シンプルに、
「この人はちょっと難しいかも」
「手間が増えそうだな」
と感じるメンバーには、
どうしても仕事を任せづらくなってしまいます。
逆にあなたには「ちゃんと完了できる」という信頼があるからこそ任せられている。
それだけの話です。
ここには「好き・嫌い」や「不公平にしている」などの意図はなく、
業務を回すうえでの現実的な判断という側面があります。
「助かってる」から頼りたくなる
正直なところ、上司も常に余裕があるわけではありません。
複数のタスクを同時に抱えながら組織全体を見て動く必要があるため、
頼れる人に甘えたくなる気持ちが出てしまうこともあります。
あなたがきちんと対応してくれるからこそ、
「次もお願いしよう」と思ってしまうのです。
これは悪意のある行動ではなく、
ある意味感謝の裏返しとも言えます。
ただ上司の感謝が言葉に出ていなかったり、
気づいていなかったりすると、
受け手側は「またか…」と疲れてしまうこともあるかもしれません。
期待を込めて引き上げ対象にしている
組織として人を育てるには、
「ある程度仕事を任せて、経験を積ませる」ことが必要です。
上司の中には、
「将来的にこの人を引き上げたい」と思っている部下に対して、
あえて負荷をかけることもあります。
実際、あなたに難しい案件や重要な役割が多く集まるのは、
単なる都合のいい使われ方ではなく、
「この人ならいける」と見込まれているからかもしれません。
ただそれが説明されずに「期待」として伝わっていないと、
プレッシャーにしか感じられないというのもよくあるすれ違いです。
他の人を育てる余裕がないのが現実
部下全員を丁寧に育てたい──それが理想です。
でも現実には、
「今この仕事を誰かに任せなきゃいけない」
「教育する時間がない」といった理由から、
教えなくてもできる人”頼らざるを得ない状況になることもあります。
これは上司自身の業務量や組織の人員体制にもよる問題です。
結果として育てるよりも任せる選択肢が続くと、
一部の人に仕事が偏る悪循環が生まれてしまいます。
正直、あなたが“使いやすい”と思われていることも
言い方は少し乱暴ですが、
「あの人に頼めば断られない」
「丁寧に仕事をしてくれる」と思われていると、
使いやすいという理由で仕事が集まりやすくなることがあります。
もちろんそれは、
あなたの責任感や誠実な働きぶりがあってこそですが、
上司の視点から見ると、
「扱いやすい存在」と見なされている面も否定できません。
特に反論や文句を言わないタイプの人ほどこの傾向が強くなります。
その結果上司から見て「できればやりたくない仕事」を、
感情なく振られることも増えてしまうのです。
受ける側としては、たまったものではありませんが──
これも残念ながら現実です。
大切なのは、
「信頼されている」のか、
それとも「便利に使われているだけ」なのか、
を自分なりに見極めることです。
「頼られる自分」がしんどくなったときの考え方と対応
仕事を任せられるのはありがたいことですが、
これが続くと「なんで自分ばっかり…」という気持ちになり、
ふとしたときに心や身体の疲れを感じることが多くなります。
ここでは頼られすぎてしんどいと感じたときの考え方や、
立場に応じた対処法をお伝えします。
出世を目指す人が考えるべき「受け止め方」
もしあなたが、
「もっと成長したい」
「いずれはリーダーや管理職も視野に入れている」
と感じているなら、
上司からの仕事の偏りを、
ある種のチャンスとして捉える視点も持っていいと思います。
仕事が集まる=信頼されている証。
それに加えて、
「周囲を見ながら仕事を進める経験」や
「業務の幅を広げる機会」が得られるのも事実です。
もちろん無理にすべてを引き受ける必要はありませんが、
「この経験が将来自分の強みになるかも」
と思えたなら、
前向きに受け止めることもできるのではないでしょうか。
とはいえ、注意すべき点もあります。
本気で出世を考えているなら、
その上司が組織内でどれだけ影響力を持っているのかを見極める必要があります。
とくに重要なのは、人事権への関与度です。
人事に関わる発言権を持っていなければ、
あなたを引き上げたくても現実的には難しい場合もあります。
またその上司自身に影響力がなくても、
人脈(たとえば、直属の上司が決定権を持っているなど)を含めて判断すると、
より戦略的に動けるでしょう。
安定志向なら「バランス重視」が正解
一方で出世や昇格をそこまで望んでいない方も多いと思います。
「今のポジションで安定して働ければ十分」──
働き方は出世だけが正解ではありませんしそれも立派な選択です。
そんな人にとっては、
頑張りすぎない自分なりのバランスを見つけることがとても大切です。
例えば・・・、
- 重要度の低い仕事は、状況に応じて相談・調整してもらう
- 感情的ではなく、事実として「手一杯である」ことを伝える
- 無理せず、一定の距離感を保ちながら働く
ポイントは、いい意味で「遠慮せず、自分の限界を伝える」ことです。
「正直、今は少ししんどいです」と言ってもいいんです。
ただし、伝え方には注意も必要です。
もし上司があなたに強く期待していた場合、
「頼りにしていたのに…」と反動的に評価が下がる可能性もあります。
だからこそ、伝えるタイミングや言葉選びも大切に。
それでも無理せず長く働ける状態を自分でつくることも、
十分にプロフェッショナルな姿勢です。
自分でも気づきにくい疲れのサインに注意
仕事ができる人ほど真面目な方ほど、
「限界を自覚しにくい」傾向があります。
責任感が強く、周囲にも気を遣うからこそ、
無理をしてしまいやすいのです。
- 最近よくミスをするようになった
- 休日に疲れが取れない
- 仕事のことを考えると気が重い
こうした小さな変化は見えないストレスのサインかもしれません。
何をするにしても体調は一番の財産です。
恥ずかしながら、私自身も仕事で心身を崩した経験があるので、
これは本当に痛感しています(笑)。
どんなに優秀な人でも、
無理を続けて体調を崩してしまえば、
元のパフォーマンスに戻すのは簡単ではありません。
それに、たとえ数日あなたが仕事を離れても組織はきっと回ります。
これは決して「あなたがいなくてもいい」という意味ではなく、
支え合いながら回るのが組織というものだからです。
「私がやらないと…」と抱え込みすぎず、
本当にしんどいときはSOSを出す勇気を持ってください。
上司の対応が悪いなら「断る=悪」ではない
もしあなたの上司が、明らかに一部の人にだけ仕事を押しつけている、
頼るだけで感謝の言葉もない。
──そんな偏った対応を続けている場合、受け手側が線を引く必要があります。
さらに、あなたの働きぶりに対して
「正しい評価がされていない」
「他の人と比べて明らかに扱いが重い」
と感じるのであればなおさらです。
たとえば、こんなふうに伝え方を工夫することで自己防衛につながります。
- 「すみません、少し業務が立て込んでいるので優先順位を整理してもいいですか?」
- 「納期的に難しいので、チームで分担することは可能でしょうか?」
“ることは、反抗ではなく、自分を守るための正当な主張です。
「NO」と言えることも、社会人として必要なスキルの一つです。
私自身の経験でも、
部下が築いた成果を上司が自分の手柄として報告してしまう
──そんなケースは残念ながら実在しました。
ドラマや映画の話ではなく、リアルな現場での出来事です。
もし少しでも違和感を抱いたなら、
「自分は人事考課でどう評価されているのか」を、
直接聞いてみるのも一つの方法です。
上司にとっても「この人はきちんと見ている」と思わせることで、
無責任な扱いを防ぐ効果があります。
まとめ できる人こそ自分を守る働き方を

上司に仕事を任されるのは信頼されている証である一方で、
知らず知らずのうちに「便利な人」として扱われてしまうリスクもあります。
だからこそできる人”ほど意識してほしいのが、
自分を守る働き方です。
自分にとって見返りがあるかを考える
どんなに努力しても、
適切な評価や見返りがなければモチベーションは続きません。
「この仕事を受けたことで、自分に何が返ってくるか?」
を一度立ち止まって考えてみましょう。
- 経験やスキルが増える
- 評価につながる
- 自分の成長になる
──そう思える仕事なら受ける価値があります。
逆に「単に都合よく使われているだけ」と感じるなら冷静に線引きを。
信頼されていても背負いすぎなくていい
真面目な人ほど、
「期待に応えなきゃ」
「迷惑をかけたくない」
と、つい仕事を抱え込んでしまいがちです。
でも、信頼=すべてを引き受けるべきというわけではありません。
「それは今の状況では難しいです」
と伝えることも立派な誠実さの一つです。
もしその一言で上司との関係がギクシャクするようなら、
そもそもそれは信頼ではなく依存に近い関係だったのかもしれません。
本当にあなたを大切に思っている上司なら、
断ったところで態度を変えたりはしないはずです。
信頼関係というのは都合よく従うことではなく、
互いに無理せず向き合える関係にこそ宿るものです。
今の環境がすべてじゃない。距離をとる選択もあり
どれだけ真剣に仕事に向き合っても、
上司に自分の限界を伝えても、
職場や上司のスタンスがまったく変わらないこともあります。
そんなときは、一度立ち止まって、
「この場所で無理をしてまで頑張り続ける必要があるのか?」
と自分に問いかけてみてください。
部署異動の希望を出したり職種を変える、
あるいは転職を含めて環境そのものを変えることも、
前向きな選択肢の一つです。
今の環境だけがすべてではありません。
補足:上司の上司に相談するときの注意点
どうしても直属の上司に相談しても改善されない場合は、
「上司の上司」に相談するという手もあります。
ただし、これは慎重に行うべきです。
いきなり上司を飛び越えて相談してしまうと、
「上司を避けているのでは?」
「上司とうまくやれない問題のある社員では?」
と受け取られるリスクがあります。
まずは直属の上司にきちんと話すこと。
そのうえで何の対応もなかった、
改善の兆しがまったくない──
という事実を積んでから上の階層に相談する。
段階を踏んだ行動があなたの信頼を守ることにもつながります。
組織というのは遠回りに見えて、
順を追うことが一番の近道になることもある。
管理職も経験した私からの、
ちょっとしたアドバイスとして心に留めていただけたら嬉しいです。
h3:上司はあくまで環境の一部。自分軸で働こう
上司の言動に振り回されて、
自分らしさを見失ってしまっては本末転倒です。
「どんなふうに働きたいか」「どんな人生を歩みたいか」
──そんな自分軸を持つことが、ストレスの少ない働き方につながります。
上司はあくまで職場という環境の一部でしかありません。
ちょっとした人事異動で変わることなんて、よくある話です。
必要以上に気にしすぎず、
自分のペースで働ける道を選んでいきましょう。
あなたらしい働き方を大切にすることが長く穏やかに働く秘訣です。
いかがでしたでしょうか。
この記事が、
少しでも前向きに仕事と向き合うきっかけになれば嬉しいです。
仕事が集まるのはあなたが信頼されている証。
でも、すべてを抱え込む必要はありません。
自分を守る働き方を選ぶことも立派なプロの判断です。
これからも自分らしいスタイルで、
心地よく働ける日々が続くことを願っています。