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上司として考えるべき業務の責任と部下への評価について考えてみる~責任を取る=○○ではありません~

仕事をしていく上で与えられた任務に対して結果を出せる時もあれば、
うまくいかなくて失敗することもあります。
目標が達成できれば評価につながりますし、
達成できない場合は責任問題に発展するかもしれません。

もし目標が達成できずうまく事が運ばなかった場合はどう責任を取るのか、
そして上司として取るべき部下への対応とはなにかを考えていきたいと思います。

 

簡単ではありますが少しだけ私の経歴を書くと、
薬学部卒で薬剤師免許を取得し就職。
就職後はドラッグストアや調剤薬局につとめ、
ドラッグストアや調剤薬局で管理者(薬局長)として8店舗
エリアマネージャーとして10年
そして今は課長職として働いています。

もちろん考え方はいくらでもありますので、
世の中にある物の見方の1つだと思ってください。
「こんな考え方もあるんだな・・・」
程度で気楽に読んでいただければ幸いです。

 

目次
・そもそも論として「責任を取る=仕事を辞める」ではない
・さっさと辞めてしまう行動は「敵前逃亡」
・責任を取るということは失敗から学び次の成功に向けて行動に移すこと
・物事がうまくいかなかった時に上司は部下をどう評価すべきか
 ①部下の行った行動と結果を報告させる
 ②部下に対して責任はないことを伝える
 ③褒めるべき点は褒め、部下に感謝を伝える
・まとめ

 

そもそも論として「責任を取る=仕事を辞める」ではない

企業が何らかの不祥事が発覚した際に、
経営責任者がマスコミの前で深々と頭を下げて謝罪するシーンを、
ニュース番組でよく目にすると思います。
そして頭を下げた経営責任者に対して、
TVアナウンサーや新聞記者の方がこう言い放ちます。

「責任を取って辞職しないのですか?」

 

おそらく多くの方は「責任を取る」という言葉に対して、

・今の職から身を引くこと
・その組織から身を引くこと

を連想する方が多いのではないでしょうか。
簡単に言えば「責任をとる=辞職する(仕事を辞める)」という構図です。

しかしこれは完全に間違った考え方です
「責任を取って辞めます」
と聞くとなんだか潔い行動に見えますが、
とっとと辞めてしまうことが一番やってはいけない行動です。

これは完全な「敵前逃亡」であり最大の愚策です。

さっさと辞めてしまう行動は「敵前逃亡」

失敗を認め辞めることは、
場合によっては責任を取る1つになるかもしれません。
しかし簡単に辞める事を周囲は許してはなりません。
とくに相手が社長や経営陣といった、
その組織内でより役職やポジションが高ければ高いほど辞めさせてはいけないのです。

先ほどに書きましたがさっさと辞めることは「敵前逃亡」です。
さっさと辞めてしまう「敵前逃亡」は一番責任を取らない行動なのです。

ちょっと想像してみてください。

あなたの会社が新規事業を開拓し売上を倍増する計画を立て実行したとしましょう。
しかし新規事業はうまくいかず数年後に経営不振に陥り、
会社は大きな負債を抱えてしまいました。
そこで社長がこう言います。

「この新規事業で失敗した責任は私にある。
だから社長職を辞職し会社を去るからあとは君たちが頑張ってくれ」

皆さんは納得できますか?
私なら全く納得はできません。

なぜなら社員は会社や社長の方針に従って仕事をしてきたわけです。
その方針がうまくいかなかった結果により大きな負債を抱えてしまったのに、
方針を決めた社長が去ったあとに残された社員はどうしろというのでしょうか。

社長は良いですよね、会社から去れば高みの見物でいいわけですから。
社員は大変ですよ、会社を再建しなくてはならないのですから。

楽な思いをするのは誰でしょうか?
つらい思いをするのは誰でしょうか?

責任を取るということは失敗から学び次の成功に向けて行動に移すこと

では責任を取るということはどういうことなのか。
責任を取るということは

「失敗から学び次の成功に向けて行動に移すこと」

であると思います。

仮にいくら社内で事業の責任者になったとしても、
全ての権限を与えられての責任者になれるのは、
会社では組織のトップである社長たった1人だけです。
社長以外はすべて(結果として直接でなかったとしても)
社長より任命されて責任者になっています。
これに該当するポジションが中間管理職になるでしょう。

言い換えれば上司と部下に挟まれて仕事をする中間管理職の方は、
目標に受けて何の制限もなく仕事ができるわけではありません。
なぜならすべての権限を社長から与えられていないからです。
自分が持つ権限はあくまで組織内の一部にしかすぎません。
ですからいくら責任者本人が全責任を取りたくても取れないのが実情となります。

そしても一つの視点で考えるべきことは、
そもそもどんな目標や計画でも必ず成功するとは限らないということです。
むしろ計画通り・予定通りに物事が進む方がまれなのではないでしょうか。

であれば目標が達成できる確率よりも失敗する可能性や、
または失敗とまではいかないが、
予定通りに達成できないほうが多いということになります。

結果に対していちいち責任者に処遇(降格させたり辞めさせたりすること)を決めていたら、
それこそ頻繁に人材が入れ替わることになるため、
職場が混乱するかもしれないですし、
若い社員が見ていたら、
「辞めさせられるならこんな会社で働きたくない」
なんて思われてモチベーションの低下につながる可能性もあります。

これらの理由から誰かが辞めたところで何の解決にもなりませんし、
辞めたからと言って物事がうまく回り始めることもありません。
職場を混乱させるだけになります。

大事なことはなぜ失敗したのかをよく考え、
失敗から学んだことを次の目標達成のために向けて行動する方がよっぽど建設的です。

であれば責任者を辞めさせたり、
もしくは自ら辞めることを選択させるのではなく、
なぜ失敗してしまったのか原因を考え、
その考えを周囲に報告し次の行動に活かしてもらうことこそ、
責任をとる行動になるになるはずです。

物事がうまくいかなかった時に上司は部下をどう評価すべきか

あなたがとある新規事業の責任者となり、
部下を数名引き連れて奮闘していたとしましょう。
そして与えられた目標を達成することが出来なかったとします。
あなたは部下に対してどう対応し評価すべきでしょうか。

当然ですがあなた自身がさっさと辞めて、
「あとはよろしく」
なんて部下に声をかけることはしないでくださいね。

また部下に責任を押し付けて、
「お前たちのせいで失敗したんだ」
なんて罵声を浴びせるのもご法度です。

①部下の行った行動と結果を報告させる

物事はうまくいかないケースが多いわけですから、
なぜうまくいかなかったのかを分析しなくてはなりません。

であればまずは部下の行った行動と結果を報告してもらう必要があります。
そして報告にはできる限り感情を入れずに事実のみを確認することが重要です。

誰だって悪い結果は報告したくありません。
言い訳の一つや二つもしたくもなります。
そういった感情的な報告は事実を見えなくさせる可能性があります。
事実を正しく把握するために部下の報告に耳を傾けることが求められます。

②部下に対して責任はないことを伝える

部下から報告を受ける前提として「部下には責任がない」ことを意識してください。

誰だって失敗しようと思って行動しているわけではありません。
人によってはまじめに責任を感じてしまう部下もいることでしょう。
ですから上司である自分に責任があることを明確にし、
部下の心身の負担をできる限り取り除く配慮が必要です。

③褒めるべき点は褒め、部下に感謝を伝える

手を抜いていたのであれば話は別ですが、
誰だって部下は自分なりに頑張ってきたはずです。

たとえ目標には届かなかったとしても、
その過程で評価すべき事項も多々あるはずです。
ちょっとでも達成できた点が多々あるはずです。
であればこの点を褒めてあげてください。

もちろん内容によっては部下に反省してもらう点もあるでしょう。
指導すべき点があれば行わなくてはなりませんが、
同時に褒めることも忘れないでください。
必ず部下の今後の成長につながるはずです。

そして部下に感謝を伝えましょう。

部下からすれば時には上司であるあなたから、
自分の意見とは違う指示を受けてきたはずです。
あまりやりたくない仕事もこなしたこともあったはずです。
多かれ少なかれどんな部下もあなたを支えてくれたはずです。

であれば部下に対して感謝を伝えてください。
感謝されることに部下だって悪い気はしないはずですし、
また別の機会であなたを助けてくれたり支えてくれるかもしれませんよ。

部下への対応で参考にすべきはスポーツ監督のインタビュー

サッカーなり野球なりバスケなりどんなスポーツでもいいのですが、
優勝したチーム監督がどんなコメントを残しているか思い出してみてください。

大抵こんなコメントを残していないでしょうか。
「優勝できたのは選手が頑張ってくれたおかげです」

反対に結果を出せなかったチーム監督はどうでしょうか。
「結果の責任は選手ではなく監督である私にあります」

監督と選手の関係性は上司と部下の関係性と近いと私は考えています。
(もちろん監督と選手の間に上司や部下の概念はないでしょうけど・・・)
監督の一挙手一投足を選手はよく見ているのと同じように、
部下は上司がどんな言動をするかよく見ているはずです。

 

もし優勝した監督がこんなこと言っていたらどう思いますか?
「いやー、優勝したのは選手というよりも私の采配が良かったからですね

逆に負けた監督の発言がこんな内容ならどう感じますか?
「負けたのは選手が実力不足であったからで、私が悪いわけではありません

まとめ

働く上での責任の考え方や上司として部下への評価の仕方について、
少しイメージがわいたでしょうか。

あなたが何らかの責任者になったとして、
仕事がうまくいかなかったとしても何も辞める必要はありませんし、
もし「辞めること」を求められるような職場であれば、
その会社の将来性はだいぶ暗いと考えていいと思います。

そしてあなたが上司の立場であるなら、
結果が出なかったとしても周りを攻めるような態度は取らず、
できる限り部下を守りフォローをしてあげて下さい。

時には部下の行動にイラっとすることもあるでしょうし、
部下に責任転換したくなることもあるでしょう。
環境や状況から見て運不運もあります。

その気持ちはものすごくわかります。
管理職は立場のつらいポジションでもありますから。
でもそこはグッとこらえて下さい。
そして褒める・感謝することを忘れずに。

大事なのは失敗から学ぶこと、
そしてそれを教訓として次の成功につなげることです。
決して辞める選択をしないでくださいね。

 

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