どんな組織でも必ず「上司」と「部下」が存在します。
そして「上司」には役職・ポジションが与えられます。
もしあなたが一般社員から昇進した場合、
与えられた役職やポジションの範囲において「上司」となり、
複数の「部下」を持つことになります。
当然ですが「上司」と「部下」では働き方や役割が異なってきます。
今回は仮にあなたが「上司」になったときに、
どういう考えで業務を行っていくべきなのかを説明していきます。
まず上司が果たすべき役割は以下の4つになります。
上司として果たすべき役割
・部下に規則やルールを守らせる
・組織内の目標を決める
・戦略や戦術を駆使し目標を達成させる
・部下の教育を行う
今回は「部下に規則やルールを守らせる」をテーマに説明します。
もしあなたが昇進したいを考えているなら、
上司としての働き方をあらかじめ知っておいた方がスムーズでしょう。
また昇進に興味がない方でもいい上司と悪い上司の見分け方にもなると思いますので、
知っておいて損はない知識だと思います。
簡単ではありますが少しだけ私の経歴を書くと、
薬学部卒で薬剤師免許を取得し就職。
就職後はドラッグストアや調剤薬局につとめ、
ドラッグストアや調剤薬局で管理者(薬局長)として8店舗、
エリアマネージャーとして10年、
そして今は課長職として働いています。
あくまで私の経験をもとに書いていきますので、
「こんな考え方もあるんだな・・・」
程度で気楽に読んでいただければ幸いです。
目次
・上司のイメージはチームスポーツでいう監督
・最も重要な役割は「規則やルールを守らせる」こと
・目的達成のために何をしてもいいわけではない
・ルールがある以上はルールに従わせるのが鉄則
・意味をなさないルールは変えてしまえばいい
・自分の裁量権では変えられないルールは自分の上司に訴える
・まとめ
上司のイメージはチームスポーツでいう監督
仕事をしていく上で人数の多い少ないはありますが、
大抵の場合は複数人数で仕事を行っていきます。
つまりチームを組んで業務を行うことになります。
基本的に個人ごとに考え方や主義主張が異なりますから、
チームメンバーすべて横並びの位置で物事を決めるのは非常に難しくなります。
そこで必要なのは決定権をもった存在が必要になります。
このポジションについたメンバーが上司となるわけです。
上司はチームとして仕事がスムーズに行えるよう、
チームメンバーを管理する必要が出てきます。
またチーム内の目標を達成するために戦略や戦術を練る必要があります。
こういった役割はチームスポーツでいう監督の存在に非常に近いと私は考えています。
ですからここからは「上司」をチームスポーツの監督とみなして進めていきます。
ちなみに「部下」(一般社員)は選手だと考えてください。
最も重要な役割は「規則やルールを守らせる」こと
先ほど上司の役割を4つ挙げました。
その中でも個人的に最も重要な役割は、
「規則やルールを守らせる」ことだと考えています。
「監督ならチームに勝利をもたらすことだ」
と考えている方多いと思います。
もちろんチームに勝利をもたらすこと、
(実際の業務では目標を達成すること)も重要ではあるのですが、
これよりももっと大切なのは規則やルールを守らせることになります。
どういうことなのか。
例えばサッカーの場合、
ルールとしてフィールドプレイヤーは11人で試合を行います。
また手を使ってプレーすることはできません。
サッカーに詳しくない方でもこれくらいは知っているのではないでしょうか。
しかしルールを知らずに選手(部下)が12人で試合を始めようとしたり、
手を使ってゴールを決めようとしたら、
即刻審判に止められてしまいます。
当たり前ですよね、試合になりませんから。
もし選手がルールを知らないなら監督が教えて守らせなければならないのです。
どんなに小さなことでもルールを守らなければ、
審判から退場させられるかもしれません。
一度退場させられればその選手は競技を続けることができなくなりますし、
仮に退場させられてしまえば相手チームより1人少ない状況で、
試合を進めなくてはならなくなります。
非常に不利な状況で試合を進めなくてはならなくなります。
目的達成のために何をしてもいいわけではない
よく私が言われるのが、
「目標を達成できたのなら多少ルールを守らなかったとしてもいいじゃないですか」
という意味合いの質問です。
もちろん気持ちはわかります。
結果を出すことはとても大事です。
この時私は下の質問をするようにしています。
売上を達成するために顧客や取引先を騙して契約にこぎつけた部下をあなたは許しますか?
どうでしょうか?どう感じますか?
ちょっと大げさな例かもしれませんが、
法律に基づく判断も立派なルール違反になります。
もし相手を騙して契約をしたのであれば犯罪になる可能性があります。
取引先や顧客から訴えられる可能性もあります。
仮に一度でもSNSにこの内容が載ってしまえば、
かなりの大炎上に発展することだって考えられます。
このような結果をもたらすかもしれない行為を、
上司として認めてしまっていいのでしょうか。
何もルールは社内規則だけではありません。
一般社会における法律に関しても上司は部下に守らせる必要があるのです。
ルールがある以上はルールに従わせるのが鉄則
「いやさすがに法律はまずいけど、社内ルールならいいんじゃない?」
こう思ってる方も多いのではないでしょうか。
社内ルールは法律とは違いあくまでその組織に所属する人のみに課せられるものです。
では次の例で考えてみましょう。
あなたの部下で非常に優秀で常に予算達成させている社員がいたとしましょう。
仕事はできるのですがこの社員の弱点として遅刻癖があります。
ある時この部下から、
「次も予算達成するからこれからの遅刻を見逃してほしい」
と言われたとしましょう。
あなたはどう対応しますか。
もし就業規則などに遅刻に関する罰則があれば、規則の通りに従わせるべきです。
もし遅刻に関する項目がなければ何のお咎めもなくて構いません。
先にも書きましたが、
会社というのはそれぞれ価値観の違う者が集まった集団です。
遅刻に関して気にする人もいればそうでない人も集まります。
規則が存在する理由は、
価値観の違う者同士が仕事を行う上で、
共通認識として理解してほしい基準となるわけです。
就業規則に遅刻に関する罰則があるとすれば、
会社として遅刻を認めませんという意思表示になります。
逆に就業規則に載せていないのであれば、
この会社は遅刻については何も咎めないという意思表示をしているわけです。
基本的な考えとして規則やルールを守ったうえで結果を出すのが前提になります。
結果が全てを優先することにはなりません。
もし会社の意思表示を無視してよいとなれば、
言い換えればルールを破っても何もお咎めがないとなれば、
その社員は遅刻を繰り返すことでしょう。
そしてそれを見ている他の社員も規則も従わなくなるでしょう。
規律やルール無視が続けばもはやその職場は無法地帯と化します。
そしてチームとしてのまとまりを失い目標を達成できないばかりか、
チームの崩壊につながるかもしれません。
「何をそんな大袈裟な・・・」
なんて感じる方もいるでしょうね。
でも仕事は1人で完結できることなんてないに等しいはずです。
個人が抱えている仕事はその人自身しか達成できないかもしれませんが、
その人が抱えている仕事だけで会社が回っているわけではありません。
サッカーで考えてみましょう。
どんなに1人の選手が優れた能力をもって結果を出したとしても、
他の10人の選手が力を発揮しなければ試合に勝てません。
攻める役割の選手、守る役割の選手がそれぞれ成果を出し、
かつお互いに協力し合わなければ試合には勝てません。
「今の時間は守る時間だ」と監督が指示を出しているにもかかわらず、
「いや俺は守りたくない、点を決めてやる」
と言って、指示に従わない選手を監督は試合に出し続けたいと思うでしょうか。
勝手なプレーをしてチームメイトに迷惑をかける選手を、
監督として黙ってみていられるでしょうか。
意味をなさないルールは変えてしまえばいい
部下にルールを守らせるイメージが何となく湧いたでしょうか。
とは言え決められたルールの中には、
何の意味があって何の効果があるのかイマイチわからないものも少なくありません。
守らす意味があまりないルールの扱いはどうすればいいのか・・・。
もしそのルールの管理があなたの裁量権の範囲内にあるのならば、
あなた自身がルールを変えてしまえばいいのです。
裁量権の範囲外のルールであればあなたの上司に直談判すればいいのです。
上司にはその役職の違いにより影響の大小はあれど、
必ず裁量権を持つことが出来ます。
先ほどの遅刻する部下の例で考えてみます。
能力は高いが朝が苦手で遅刻が多発する社員に対して、
上司としてシフトを決める裁量権があるのなら、
出勤時間を遅くしてあげればいいのです。
例えば9時~18時までが通常勤務だとして、
あなたの裁量権で1時間遅い10時出勤に変えてあげればいいのです。
ただしこの場合は他の社員と労働時間を合わせるために、
退社時間も1時間遅くなることを納得してもらう必要があります。
この条件に納得するならこの社員は「遅刻」扱いになることもなく、
仕事に打ち込める環境になることでしょう。
裁量権でルールを変える際に注意点があります。
ルール変更のきっかけがこの社員のためにシフト変更を受け入れたとしても、
他の社員から1時間遅いシフト希望が出た場合は受け入れる必要がります。
誰か1人だけのルールを作るのは、
他の社員にとって不公平感になることが多々あるからです。
ルールを変更した場合は他の社員にも適用させる必要があります。
自分の裁量権では変えられないルールは自分の上司に訴える
いくら裁量権があったとしても、
全ての物事を管理できるわけではありません。
残念ですがあなたの裁量権には一定の範囲内でしか効力を発揮できません。
それでも何とかしてルールを変えたいという場合は、
自分の上司に提案する必要があります。
もしあなたの提案が上司に受け入れられ認められたのであれば、
新しいルールを元に業務を行っていることが出来ます。
ではもしあなたの上司が提案を受付けてくれなかった場合、
あなたはどう行動すべきなのでしょうか。
先ほど例で再度考えてみます。
もしあなたの裁量権では部下のシフト変更することが出来ない場合、
シフト変更の裁量権を持つ上司に自分の提案をお願いすることになります。
しかし、ここで上司の首が縦に振らなかった場合、
残念ながらその社員は今まで通り9時出勤してもらうほかありません。
「なんで上司は受け入れてくれないんだ・・・」
とあなたが感情的になったとしても、理不尽だと感じたとしても、
指示には従う必要があります。
この辺がいわゆる中間管理職のつらいところです。
もしここであなたが指示に従わなかった場合、
上司から見ればあなたは「指示に従わない部下」になってしまいます。
繰り返しになりますが、
指示に従わない部下(選手)を上司(監督)が信用するでしょうか。
指示に従わないあなたを上司は黙ってみてくれるでしょうか。
まとめ
今回は4つある上司に役割の中で最も重要と考える、
「部下に規則やルールを守らせる」
についてお伝えしました。
規則やルールは個人個人で違う思考や感情論に左右されることなく、
部下に守らせなくてはならないと私は考えます。
しかし規則やルールは時によっては内容の変更が必要になることもあります。
その際は自分の裁量権で変えることが出来るなら、
どんどん変えていっていいと思いますし、
自分の裁量権では届かない規則ならば上司に提案すべきだと私は考えます。
最初に書いた通り上司の役割は4つあります。
残りの3つの役割については別でまとめているので、
良かったら読んでみてください。
少しでも参考になったら嬉しいです。
お勧め書籍:「松下幸之助 成功の金言365」
私が働く上で影響を受けた人物の1人に「松下幸之助」という方がいます。
ご存意の通り現在のPanasonic(当時は松下電気機器製作所)を創業された方です。
働き方・生き方について様々な言葉を残していますので、
上司に興味がある方にもない方にもきっと役に立つ1冊になると思います。