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勝手に上司に求められるレベルを引き上げていませんか?~上司は「何でもできる」必要はありません

役職がつくこと(昇進)に対してあまり乗り気でない方からよく言われるのが、
「昇進する自信がありません、私では無理です」
という発言です。

謙遜もあるのでしょうが、
おそらくこれまでの自分の経験や知識などを精査して、
私にはそのスキルがないと感じているのだと思います。

さらに深刻に考えてしまう方は、
「なんでも出来なくてはならない」
という概念にとらわれている場合もあります。

たしかに役職者や上司に求められることは、
他の社員よりも知識や経験、
判断力や統率力などといった能力が優れてる方がいいということに異論はありません。

しかし役職者(もしくは部下から見た上司)が、
何でもできなくてはならないポジションではありません。
ましてや全ての能力が部下と比べて優れていることが条件ではないのです。

 

今回は少し(・・・というかだいぶ?)上司イメージを盛ってしまう方向けに、
その必要はないことを伝えたいと思います。

 

簡単ではありますが少しだけ私の経歴を書くと、
薬学部卒で薬剤師免許を取得し就職。
就職後はドラッグストアや調剤薬局につとめ、
ドラッグストアや調剤薬局で管理者(薬局長)として8店舗
エリアマネージャーとして10年
そして今は課長職として働いています。

もちろん考え方はいくらでもありますので、
世の中にある物の見方の1つだと思ってください。
「こんな考え方もあるんだな・・・」
程度で気楽に読んでいただければ幸いです。

 

目次
・そもそも役職者(上司)に求められる役割とは?
・上司の能力やスキルが全ての面で部下より優れている必要はない
・「部下として優秀であった社員」≠「優秀な上司になれる」
・名選手は名監督にあらず・・・はサラリーマンにも当てはまる
・「現場スキルが低かったからいい上司になれない」も大きな間違い
・まとめ

 

そもそも役職者(上司)に求められる役割とは?

昇進して役職に就き、
部下を引き連れて働く上司の役割は、
いわゆる現場で働く社員に求められる役割は異なってきます。

私が考える上司に求められる役割は4つあります。

上司として果たすべき役割
・部下に規則やルールを守らせる
・組織内の目標を決める
・戦略や戦術を駆使し目標を達成させる
・部下の教育を行う

 

対して現場で働く社員や部下としての役割は1つだけです。

部下の役割とは
・与えられた任務を遂行し完結させること

目の前の業務をこなし完結させるのが役割となる社員に対して、
上司や役職者は単に業務を処理するよりも、
少し長い時間軸で物事を判断し、
少し先の未来を想像しどこを目指すべきなのか、
今後起こるであろう環境変化や問題に対してどう対応するべきなのか、
といった先を見据えた行動をすることが求められます。

現場社員や部下とその上司や役職者は、
それぞれ求められることが違いますから、
当然身に付けるべき知識やスキルも変わってきます。

ですから今まで昇進した経験のない社員からすれば、
「何かとてつもないスキルがないと出来ないのではないか」
と想像してしまうのは無理のないことだと思います。

ですが先ほど指名した通り、
上司や役職者の役割として4つを示しました。
ということは仮に昇進して上司になった場合は、
この4つを実行できるスキルや知識があればよいということになります。

もし、
「上司になったら何でもできなくてはならない」
なんて考えているのであればその考えは捨てても全く問題ありません。

「何でも」とは考えていなくても、
他の社員と比べて多少できないことがあるからと言って、
昇進する資格がないということも全くありません。

どうでしょうか、
イメージしていたよりは上司に求められるハードルが、
ちょっとは下がったのではないでしょうか。

 

上司の役割についてもっと詳しく知りたい方はこちらをどうぞ

上司の能力やスキルが全ての面で部下より優れている必要はない

そうはいっても4つの役割を考えた時、
求められるスキルは高そうだなって感じる方が多いと思います。
特に部下を引き連れた経験のない方にとってはより感じてしまうことでしょう。

しかし、もしあなたが、
「上司は部下よりもあらゆる面で優れていることが前提」
と考えているのならば、その概念は今すぐ捨ててしまいましょう。

もちろん上司に求められるスキルや能力は、
他のスタッフと比べて高いことに越したことはありません。

ですが仮に他の社員と比べて劣っているスキルや能力があったとしても、
上司や役職者になれるし、なっても全く問題はないのです。

 

例を出して説明します。

あなたがドラッグストアの薬局長だとしましょう。
そして店舗には数名の社員が働いています。
あなたの目標は店舗の月の売上予算を1000万円に設定したとします。

薬局長はこの予算達成に向けて業務を行いますが、
あなた1人で1,000万円を稼ぐわけではないですよね。

何が言いたいのかというと薬局長が全ての商品を陳列や補充し、
来局したすべてのお客さんに接客をして、
販売する商品すべてのレジ会計をするわけではありません。

数名の社員を引き連れて協力しあって1,000万円の売上を達成すればいいわけで、
何もすべての業務を薬局長がやるわけではないし、
1人で全てやりきることが必須でもありません。

薬局長がやるべきことは、
「目標達成のために自らすべてを完結させること」
ではなく、

「他の社員をうまく働いてもらうことで目標を達成させること」

になります。

ですからもしあなたがレジ操作が出来なかったとしても、
レジ操作の出来る社員に業務を任せればいいのです。
あなたの接客があまり上手でなかったとしたら、
接客の上手な社員にお願いして任せればいいのです。

何となくイメージが湧いてきたでしょうか。
上司が部下より劣っている能力やスキルがあったとしても、
部下にうまく仕事の割り振りが出来るのであれば、
上司としての任務を果たすことが出来ます。

部下にどんな能力があるのか、
どんなことが得意な業務なのかを見極められるのであれば、
あなたに多少の苦手な項目があったとしても、
それを補ってくれる部下を指名し代わりに穴を埋めてもらえればいいのです。

「部下として優秀であった社員」≠「優秀な上司になれる」

部下として働く社員にとって、
「レジ処理がダントツに速い」スキルはものすごく重宝されます。
部下として働く社員にとって、
「接客がものすごくうまい」スキルももちろん重宝されます。

部下の役割は「与えられた任務を完結させる」ことが役割ですから、
薬局長からレジ処理を任された社員は、
いかにレジ処理をこなしてきたかで評価されます。
接客を任された社員は、
自ら行った接客によりいかに売上に結びついたかによって評価されます。

 

では薬局長はどうでしょうか。

薬局長は「レジ処理が速かったから」と言って評価されるわけではありません。
薬局長は他の誰よりも良い接客を行ったから」と言って評価されるわけではありません。
薬局長が評価されるのは「目標を達成できた」ときです。

周りの社員と比べてどんなにレジ操作が速かろうと、
他の社員より接客が優れていようと、
目標である1000万円の売上を達成できなければ評価は下がってしまいます。

反対に売上1000万円を達成できるのなら、
レジ処理のスキルも接客レベルも、
周囲と比べて低かったとしても評価されることになります。

現場で働く優秀な社員は上司になっても優秀であると考えている方がいますが、
必ずしもそうならないと考えを改めるべきです。
理由は繰り返し説明している通り、
現場で働く社員に求められる能力と上司として求められる能力は全く異なるからです。

名選手は名監督にあらず・・・はサラリーマンにも当てはまる

「名選手は名監督にあらず」という格言を聞いたことがないでしょうか。
現役の選手時代に優れた結果を残したからと言って、
必ずしもその選手が名監督になれるわけではないという意味の格言です。

選手であれば当然ですが自分の残した成績によって評価されます。
これはテニスや柔道といった個人種目に限らず、
サッカーや野球といったチームスポーツにおいても当てはまります。

チームスポーツでは他の選手と協力・強調しながら結果を出す(試合に勝つ)わけですが、
そうはいっても自分が試合に出て結果を残さなければ、
自分の契約が打ち切りになる可能性もあるわけですから、
自分のパフォーマンスをいかに高く保つことが出来るかは、
選手にとって死活問題となるわけです

時には褒められることではありませんがチームは少し置いといて、
自分本位でプレーすることだってあるわけです。

しかし監督になるとこうはいきません。
そもそも監督がプレーをするわけではないからです。

選手とは異なり監督中心(言い換えれば自分中心)に動いたところで、
試合をするのは選手ですから、選手が動いてくれないと話になりません。

選手のパフォーマンスを高めスキルを身に付けてもらい、
試合で力を発揮してもらわない限り、
監督としての評価は高くならないのです。

選手であれば自分自身をコントロールするだけで事足りますが、
監督であれば所属する選手、
場合によってはコーチ陣やチームスタッフ、
フロント関係者までも対応する必要があります。

評価の基準とは

選手であれば
自分自身のスキルやパフォーマンスを高めることだけ考えればよい

監督であれば
→自分自身のスキルや知識を高めるのは当然のこと、
選手が活躍できる環境や戦術を考えかつ結果を出さなくてはならない

ここが選手の思考と監督の思考が大きく異なる点です。

 

そしてこれは私のような組織で働くサラリーマンにも、
非常に当てはまることだと思います。

部下として働いているのであれば、
極端な話自分の与えられた業務や任務をこなすだけで評価されます。
周りの社員の成績がよかろうと悪かろうと知ったこっちゃありません。
自分だけのことを考えて行動すればいいのです。

しかし上司になれば自分が何かをやるというよりも、
部下をうまく使いながら結果を出すことが求められます。
自分がどんなに素晴らしいスキルや知識、経験があったところで、
チームとしてこれらを伝えて社員それぞれが活躍してもらわなければなりません。

ですから仮に部下の立場で優秀な結果を残したとしても、
いざ昇進し上司になったところでその人がうまく他の社員を使いこなす意識がなければ、
上司に向いているとは限らないのです。

「現場スキルが低かったからいい上司になれない」も大きな間違い

ここまでくると察しの良い方は気が付いたことがないでしょうか。
「もしかして部下としてそこまでスキルが高くなくても上司になれる?」

まさにその通りです。

ここまでくると「ミミタコ」と言われてしまいますが、
上司に求められる役割と部下の役割は違うのですから、
当然それぞれ別のスキルが求められます。

上司と部下の必須のスキルは違うのです。

現場で働いている時に多少周囲とスキルが劣っていたって、
何か1つでも秀でた知識がなくたって、
人をうまく使うスキルがあるのなら上司に向いているといえます。

特別何かが出来た部下でなかったとしても、
人に物事を教えることが上手な方であれば、
上司に向いている可能性があります。

常にアンテナを張っていて情報を収集し、
それをもとに「あーでもない、こーでもない」と想像することを苦にしない方は、
より上司に向いているかもしれません。

ですから自分には能力がないからと言って、
簡単に昇進へのアレルギー反応を出さなくて大丈夫です。
勝手にハードルを上げなくていいんです。

もしかしたらあなた自身が気が付いていないだけで、
上司としての才能が眠っているかもしれませんよ。

まとめ

自分のパフォーマンスやスキル、
経験を重ねることが大きく評価される部下の働き方に対して、
上司は単に自分の能力を積み重ねていくだけでなく、
部下の能力をうまく引き出し、チームとして結果を求められる存在です。

ですから自分だけが知っている、
自分だけが出来ているだけではよい上司とは言えないのです。

自分の意思や考え方の違う社員を引き連れて目標を達成しなくてはなりません。
自分本位ではなかなかできないポジションです。

しかし逆を言えば現場でのスキルが多少劣っていたとしても、
「私は上司に向かない」なんて考える必要はなく、
上司に求められる能力は全くの別物だと認識してください。

今までパッとしなかった社員だったとしても、
昇給して輝ける方も多くいます。

個人的な意見としてもし昇給するチャンスがあるのなら、
私は受けるべきだと考えています。
もちろん大変なこともありますが、
長い人生で考えると経験して損はないと考えています。

この内容を読んで、
上司になることへのハードルが少しでも下がったと感じたのであればうれしいです。

 

お勧め書籍

先ほど「名選手は名監督にあらず」という格言を紹介しましたが、
ノムさんの愛称で多くの方から慕われた野村克也さんにとっては、
全く当てはまらない格言となります。
選手でも一流プレイヤーとして活躍し、
監督としても日本一に輝いた名監督です。

野村さんの考え方は組織で働くサラリーマンにとっても、
非常に参考になることが数多くあります。

いや、単に働くことという枠を超え、
生き方そのものを示してくれているとも言えます。

ぜひ読んでみてください。

 

 

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