今回も上司として果たす役割やどう業務を行っていくべきかについて説明します。
今上司でない方でも、将来的に昇進したいと考えているのなら、
上司としての働き方をあらかじめ知っておいた方がスムーズでしょう。
また昇進に興味がない方でもいい上司と悪い上司の見分け方にもなると思いますので、
知っておいて損はない知識だと思います。
改めてになりますが、
上司が果たすべき役割は以下の4つになります。
上司として果たすべき役割
・部下に規則やルールを守らせる
・組織内の目標を決める
・戦略や戦術を駆使し目標を達成させる
・部下の教育を行う
前回は1つめの、
「部下に規則やルールを守らせる」
について説明しましたので、
今回は残りの3つの役割について説明してきます。
簡単ではありますが少しだけ私の経歴を書くと、
薬学部卒で薬剤師免許を取得し就職。
就職後はドラッグストアや調剤薬局につとめ、
ドラッグストアや調剤薬局で管理者(薬局長)として8店舗、
エリアマネージャーとして10年、
そして今は課長職として働いています。
あくまで私の経験をもとに書いていきますので、
「こんな考え方もあるんだな・・・」
程度で気楽に読んでいただければ幸いです。
目次
・なぜ上司は目標を決める必要があるのか
・目標を決める際はできる限りわかりやすい方が良い
・「高い目標=いい目標」とはならない
・目標が決まったらどうやって達成させるかを考える
・プレイングマネージャーであったとしてもメインは「マネージャー」
・部下を教育することでチームとしての底上げを計る
・教育が苦手だと思うならまずは褒めることから始める
上司の役割はチームスポーツでいう監督の存在に非常に近いと私は考えています。
ですからここからは「上司」をチームスポーツの監督とみなして進めていきます。
(ここではサッカーを例に説明します)
ちなみに「部下」(一般社員)は選手だと考えてください。
なぜ上司は目標を決める必要があるのか
上司の役割の1つに
「組織内の目標を決める」
があります。
「目標を決める」は言葉通り「どこをゴールとするか」を決めるという意味です。
例えばJリーグに所属するプロサッカーチームすべてが、
同じ目標を掲げているわけではありません。
強豪チームならリーグ優勝を目指す、カップ戦を制するという目標になりますし、
ほどほどの戦力なら10位以内を目指すに設定するのかもしれません。
また残念ながら戦力があまり伴わないチームであれば、
J1残留を目指す方針にすることでしょう。
つまり監督はチームの戦力や周囲の環境を的確に把握し、
チームが目指すべき目標を選手(部下)に示す必要があるのです。
目標を決めてあげないと選手(部下)は何をどうすればいいかわからなくなります。
例えばあなたの上司が、
「とりあえず頑張って売上伸ばしなさい」
と言われたところで目標がイマイチ見えてきません
何をもって頑張ったことになるのかもよくわかりませんし、
売上を伸ばすといっても基準がないですよね。
去年の売上をベースとして10%伸ばすのか、
去年の金額をベースとして50万円伸ばすのか、
それとも100万円以上伸ばすのか・・・。
この言い方だと組織内の目標は各社員でバラバラになりますし、
進む方向が定まらないためチームとして、
まとまりもないまま業務を行うことになります。
目標を決める際はできる限りわかりやすい方が良い
目標を決める場合は少なくとも2つのポイントを明確にする必要があります。
2つのポイントとは「いつまでに」「何をするのか」です。
例えばもし先ほどの「売上を伸ばす」を目標にするなら、
・半年後に月の売上を100万円伸ばす
・1年以内に推奨商品の販売を月50個以上にする
・3か月後には客単価を3500円から4000円にして売上を伸ばす
と表現を変えればだいぶイメージがわきやすくなり、
組織内で共通認識として理解しやすくなります。
特に数字を使うとより理解が深まります。
本来であれば目標の決め方として、
いわゆる5W1Hを考えたほうがよりいいのですが、
慣れないうちは時間的概念(When)と、明確な目標(What)を考えるだけでも
伝わり方はだいぶ変わってきます。
When:いつ Where:どこで Who:誰が
What:何を Why:なぜ How:どのように
「高い目標=いい目標」とはならない
目標を決める際に大切なのは、
何も高い目標がいい目標になるとは限らないことです。
例えば下部リーグから昇格してきたばかりのチームに、
「よし、今シーズンはリーグ戦を優勝するぞ」
と、どんなに監督が血気盛んに言ったところで、
「いやいや、うちらにそんな実力ねえじゃん・・・」
と白けてしまうのがオチでしょう。
高い目標を掲げることが良い目標ではなく、
チームの実力や各選手の能力などを把握したうえで、
低すぎず高すぎない目標を設定することが重要です。
目標が低いとたいして努力しなくでも達成できてしまうため、
全体のモチベーションがあまり上がらなくなりますから、
チームとしての今後の成長が望めなくなります。
だからと言って高すぎる目標は結果を出すことが困難になりすぎ、
これもまたモチベーションを維持できなくなります。
頑張れば目標に手が届きそうなくらいの、
ちょうどいい塩梅の目標を掲げるのがベターです。
もし組織の能力に対しよりかなり高い目標を掲げたいのなら、
ここでも時間的概念をはっきり伝えたほうが良いです。
例えば先ほどのケースの場合、
さすがに昇格したばかりのチームが翌年にリーグ優勝は難しいでしょうから、
「5年後にリーグ優勝できるチームにする」
と時間軸を先に延ばせば少しは理解されやすくなります。
・・・とはいえ5年間のモチベーション維持も大変ですけどね。
目標が決まったらどうやって達成させるかを考える
目標が決まったら次に行うことは、
「その目標をどうやって達成させるか」を考え実行する必要があります。
かっこいい言葉でいえば、
「戦略や戦術を練り実行する」ということになります。
サッカー監督で考えてみましょう。
まずチームの特徴として攻撃中心のチームにするのか、
守備中心のチームがいいのかといったことを考えますよね。
そして各選手の特徴を生かしたポジションを決めるでしょう。
シュートがうまい選手やドリブルのうまい選手、
視野の広い選手など特徴によってポジションを分けていきます。
そしてその中で先発メンバーや控えメンバーに振り分けてきます。
実際の業務でも同じことです。
部下の能力やスキルなどを考慮し、
それぞれにやってほしい業務を振り分けていくことになります。
そして業務を任せたり振り分ける際に大事なことは、
よく部下のことを観察しておくことになります。
どんな人にも得手・不得手は必ずあります。
自分が好きな分野やスキルの高い分野であれば、
何の障害もなく快く引き受けてくれると思いますが、
あまり得意でないことや興味のない分野の業務は、
その部下のモチベーションがなかなか上がらず、
期待した結果が出来ない可能性が高くなります。
常日頃から部下の働きぶりを観察するだけでなく、
何気ない日常会話の中から何に興味を持っているのか、
好きな趣味や物事の考え方などを知っておくと、
より業務の振り分けが的確になっていくことでしょう。
プレイングマネージャーであったとしてもメインは「マネージャー」
職場によっては単に部下に指示を出すわけではなく、
自らも現場に立って業務を行う方もいると思います。
いわゆる「プレイングマネージャー」という働き方です。
プレイングマネージャー:playing manager
日本語でいうと選手兼任監督という意味です。
つまり選手として競技(play)もするし、
監督業(manager)としても役割を果たす役割の人です
プレイングマネージャーとして働く場合の注意点は、
あくまでメインは選手(player)ではなく監督(manager)であることを認識することです。
(あくまでたとえ話としてイメージして下さい。
実際には監督が選手登録することはほとんどありませんので・・・)
サッカーでいえば1試合90分のうち10分・15分程度くらいなら、
選手として試合に出ることは構わないと思いますが、
70分とか80分とか、何なら1試合ずっと試合に出続けることは絶対に避けるべきです。
監督は全体の状況を把握する必要があります。
全体の状況から判断して次の一手を考え実行する役割です。
全体を把握するためには、
フィールド上(現場)からすこし離れた位置から見たほうが理解しやすくなります。
もしずっと試合に出続けてしまうと、
とにかく目の前のボールを追いかけることに必死になります。
目の前の選手の対応で手が回らなくなります。
(まあ、サッカーは足を使うスポーツですけどね・・・)
監督不在となると次の一手が打てなくなる、
もしくは打てたとしても時すでに遅く、
チャンスを逃してしまったなんていうことになりかねません。
状況によって一時的に選手として働くことも必要になるとは思いますが、
あくまでメインは監督(manager)であることを自覚することが大切です。
部下を教育することでチームとしての底上げを計る
どんな組織にも必ず強みと弱みがあります。
目標を達成させるには強みとなる箇所を増やし、
出来る限り読みとなる箇所を減らすか影響を小さくする必要があります。
つまり部下の教育が必要となるのです。
部下にどんなスキルを身に付けた方がいいのか、
伸ばすべき能力は何が良いのか、
どんな経験を今後積ませるべきなのか、
さらなる成長のために新たに必要な知識は何か、
などなど、上司から見て判断する必要があります。
これらの中から優先順位をつけ計画を立てて教育していく必要があるのです。
部下の能力が高くなればそれだけ目標に近づくことになりますし、
何より戦力の底上げは同じ業務を行ったとしても、
より早くより正確でかつ質の高い結果を得ることにもつながります。
部下のスキルをあげ組織全体の底上げを計ることも、
上司としての重要な役割となります。
教育が苦手だと思うならまずは褒めることから始める
「教育」というと人によっては大それたことを想像する場合もありますが、
特別大きな何かを抱える必要はありません。
どんなに教育が苦手だという人にもできることが1つあります。
それは褒めてあげることです。
褒める内容はどんなに小さな成長でもいいのです。
「接客が苦手な部下が推奨商品を1個販売したら褒める」
「資料作成が下手な部下が少しでも見やすく直して来たら褒める」
「事務処理が少しでも早く処理できるようになったら褒める」
これだけでいいのです。
重要なのは褒めることで自信をつけてもらうことです。
何事も自信をもって行動すると不思議なことに結果にもつながります。
逆に自信なく行動すると今度は反対にうまくいかないことが増えていきます。
皆さんも経験ありませんか?
「うまくいかなかったらどうしよう・・・」
なんて弱気でいると自分自身で委縮してしまいうまくいかなかった経験の数々。
ちょっとした気の持ちようでプラスにもマイナスにもなることを、
どんな方でもきっと理解できるはずです。
各社員のスキルが向上し目標が達成するメリットは、
部下や組織のモチベーション向上につながりますし、
何よりあなたのチームに対しての評価も上がります。
評価が上がれば部下の自信にもつながります。
もちろん上司としての評価も上がります。
全ての社員が目標を達成するために働いているわけではないでしょうけど、
それにしたって目標を達成すれば多少なりとも嬉しいものです。
まとめ
2回にわたって上司としての役割を説明してきました。
改めての確認となります。
上司として果たすべき役割
・部下に規則やルールを守らせる
・組織内の目標を決める
・戦略や戦術を駆使し目標を達成させる
・部下の教育を行う
上司は自らの働きにより活躍し結果を出すというよりかは、
部下を陰で支えつつ、部下がいかに活躍できるよう、
環境を整えるかが重要だと考えています。
もし将来的に昇進を考えている方は、
この4つの役割について考えてみてください。
おそらくあなたが「いい上司」「できる上司」だと感じている方は、
これらの項目に当てはまるケースが多いと思います。
組織には必ず上司というまとめ役が必要なのは明白です。
そしてこの役割は誰もが選ばれるわけではありません。
もしあなたが会社から昇進の声が掛かったのならば、
あなたはその会社にとって「選ばれし者」です。
「上司」になるとつらいこともあるのは事実ですが、
決して世間一般で思われているようなデメリットばかりではないので、
私個人的の考えとしては前向きに「上司」になってほしいなと思っています。
もちろんここにあげた内容が全ての考え方ではないですから、
「ちょっと自分には合わないな・・・」
と思った方は書籍や別の方の意見も参考にしてみてください。
少しでも参考になったら嬉しいです
お勧め書籍:「松下幸之助 成功の金言365」
私が働く上で影響を受けた人物の1人に「松下幸之助」という方がいます。
ご存意の通り現在のPanasonic(当時は松下電気機器製作所)を創業された方です。
働き方・生き方について様々な言葉を残していますので、
上司に興味がある方にもない方にもきっと役に立つ1冊になると思います。