タイトルだけ見たら、
「教育」を専門として学んだ方や、
仕事で教育関連に従事している方から怒られるかもしれません。
学問として学んだわけでもない、
特別な専門書を読んだわけでもない、
今までの自分自身の経験と
自己啓発的な本を数冊読んだ程度の私の考えではありますが・・・、
基本的に「人」を変えられる人はいません。
かなり確信しています。
上司として部下を指導している方、
(当然私もですが)
苦労している方は世の中に多くいるのではないでしょうか。
「何でこの人は俺の言うことが理解できないのだ」
「何でこの人は私の話を聞かないのだ」・・・と。
おそらくまじめな人ほどこの悩みは深刻だと思います。
仕事のできる人ほど、
上昇志向や出世意欲が高い方ほど、
頭の良い人ほどこの壁に当たる確率が高いと思います。
若いころ、私は今より数倍も出世欲が強かったので、
とにかくよい結果を残したいという思いが強くありました。
部下に対しても同じ事を求めてしまい、
冗談ではなくほぼ毎日のように、
「何で指示した通りに動かないのだ」
と感じていました。
今でももちろんこういう気持ちになることはありますが、
ある考えを持ってから少しずつこのような気持ちが薄らいでいき、
随分と楽になりました。
どんな考えで気持ちが楽になったのか。
いろいろ経験した中での私なりの考えです。
それは
この世に他人の考えや行動を変えられる人間はいない
という考えも持ったからです。
言い方を変えれば、
「自分を変えられるのは自分だけ」
ということです。
「丁寧に説明すればきっとわかってくれる」
「根拠を示せば相手はきっと理解してくれる」
「私の想いが強ければ絶対に相手に伝わるはず」
私からすればこれは全て幻想です。
所詮夢物語です。
どういうことか。
恋愛で例えると分かりやすいと思うのですが、
もしあなたが恋に落ちたとします。
その相手に対して自分の想いをどんなに伝えたとしても、
必ず振り向いてくれるとは限らないですよね。
「いやいや、俺は恋愛マスターだからすべての女性を振り向かせてきたぜ」
という人もいるかもしれませんが、
それでも相手の変えたとは言えないと思います。
あなたが抱く想いを伝え、
相手に対して優しさや誠実さで接し、
時には相手の趣味に合わせ、
人によっては容姿や財力が後押ししたことが、
相手があなたに振り向いたのではなく、
あなたが抱く想いを伝え、
相手に対して優しさや誠実さで接し、
時には相手の趣味に合わせ、
人によっては容姿や財力が後押ししたことが「きっかけ」で、
相手があなたに振り向こうと「行動」に移したからなのです。
つまり、こういうことです。
人が変わるということは
「自分の意志や考えで行動したから」
ただ1点です。
繰り返しになりますが、
若い時は私も相手の考えを何とか変えてもらおうと、
躍起になって部下に「教育・指導」をしていました。
私の考えを理解してくれて答えてくれた方もいましたが、
ほとんどの方は理解してくれるわけではありませんでした。
その時は自分の説明が悪かったのかなとか、
やり方がまずいだけなんだろうと思っていました。
しかしある人からこんなことを言われます。
「私、あなたと同じ考えで仕事していないので迷惑です」
「私の考えは違うので、あなたと一緒に仕事したくありません」
本当に当たり前のことですが、
私と他人は全く違う考えや思考を持っていること。
そもそも自分と全く同じ考えの人間など存在しないのだと、
改めて痛感したのでした。
かつての私は仕事の結果や成績を重視していましたが、
何も全員が私と同じ視点で考えるわけではありません。
人によっては成績を全く気にしない方も当然います。
そもそものゴールが自分にとって都合の良い成績を残すために、
相手の行動や考えを変えさせる
というクリア不可能なゲームを永遠にし続けようとしていたのです。
こんな単純なことに気が付いてからは、
少しずつ教育や指導に対する心の負担が少なくなっていきました。
人の考えや思考を変えるのは出来ないのですから。
出来ないものはどんなに頑張ったって無理なのですから。
しかし人は考えや行動を変えることができます。
(もしくは変わることがあるという表現が正しいのかもしれませんが)
なぜ変えることができるのか。
私が他人の行動や考えを変えることはできないのだから、
行動や考えを変えたのはその人本人の意思によって変わることになります。
つまり「自分の行動を変えるのは自分しかいない」
という考えにたどり着きました。
では変わるタイミングはいつになるのか。
何らかの「きっかけ」に出会ったときに変わる可能性があるのだ
と考えるようになりました。
先ほどの恋愛のたとえ話ではありませんが、
自分を好きになってもらうには、
相手の気持ちが変わる何らかの「きっかけ」があるはずです。
ただしこの「きっかけ」が何になるのかは人それぞれです。
性格の一致なのか、趣味なのか、
財力なのか、容姿なのか、
ある程度は絞れるかもしれませんが、
明確な答があるわけではありません。
また「きっかけ」があったとしても、
必ずしも考えや行動が変わるわけではありません。
そもそも「きっかけ」に気が付かないケースだって多々あるはずです。
しかもタイミングも重要です。
同じ内容の「きっかけ」でも時間軸が異なれば、
響かない可能性もあるわけです。
①考えや行動を変えるのは自分の意志だけ
②考えや行動が変わるには何らかの「きっかけ」が必要
③その「きっかけ」が必ずしも考えや行動を変えてくれるとは限らない
以上を考えると、
イヤいや、やっぱり人の行動を変えるのは無理だわ・・・
ということになったのです。
現在では以下のように考えて行動しています。
・相手を変えられるのは相手自身のみ
・自分が出来ることは相手に「きっかけ」を与えることのみ
・自分の役割はできる限りの「きっかけ」を相手に与えること
・自分が与えた「きっかけ」の取捨選択は相手に任せる
・与えた「きっかけ」が相手に選んでもらえなかったとしても一喜一憂しない
最初のほうで、
仕事のできる人ほど、
上昇志向や出世欲が高い方ほど、
頭の良い人ほどこの壁に当たる確率が高い、
と書きました。
共通して言えるのは、
行動の先の結果が見えてしまうこと、
にあると思っています。
仕事が出来る方や頭のいい方は、
自分の経験上、成功する確率と失敗する確率が、
自分なりに計算ができるのだと思います。
ですので他人のやり方を見て、
いいやり方なのか悪いやり方なのか、
判断が出来るがゆえに、
「こいつは何で俺の言うことがわからないのか」
という思考になりやすいのではないかと考えます。
しかし相手は先の世界があなたほど見えていません。
あなただから見えた景色なのです。
ここを理解して少し我慢する余裕があるといいと思います。
そもそもあなたは仕事ができるのだから、
他人よりも仕事の質が高くて当然のこと。
人に仕事を任せる際は、
自分が行うよりも質が悪かったり時間がかかるのはしょうがないこと。
これくらいの余裕をもって見守ることを心掛けたほうが良いでしょう。
そしてより我慢が必要となるのは、
出世欲が強い方です。
こういう方は日頃から結果を優先してしまうので、
何かと指導が厳しくなりやすく、
人間関係もギスギスしがちになります。
しかしどんな方でも出世する毎に仕事の幅が増え、
自分1人では抱えきれないほどの仕事を任されることになります。
その時にいざ部下に仕事を任せようとしても、
「私はあなたと一緒に仕事したくありません」
と言われてしまうかもしれません。
何事も日頃からの接し方が重要になります。
少しでも心に余裕をもって部下に接したほうが良いと考えます。
多少の意見や考えの違いに寛容な態度で臨んだほうが、
結果としてうまく相手に伝わることもあるはずです。
この考えが参考になったらとてもうれしいです。