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薬剤師が知っていてほしい数字のお話 その⑦~ドラックストアの客単価について考えてみる~

薬局長を8店舗、エリアマネージャーを計10年を経験し、
現在課長職として働く現役薬剤師のta-sanです。
今までの経験を踏まえて薬局長として知っておくべき知識や、
学んでおくと役立つことをツラツラ綴ります。

この内容の対象者として以下のような薬剤師さん向けの内容になります。

・最近初めて薬局長(管理薬剤師)になった方
・薬局長の経験が短い方
・薬局長として働いているが経営数字が苦手な方
・経営数字を学びたいがどう学んでいいか悩んでいる方

またここでいう薬局長とは、
「薬局において運営・管理を任された方」
を指しています。
(コンビニやスーパーで言うと店長になります)

薬剤師向けの話になりますので、
いわゆる調剤薬局をイメージした内容になりますが、
ドラッグストアの物販薬局長の方でも、
理解できるように説明します。

 

ドラックストアの客単価を考える

今回はドラッグストアの客単価について書いていきます。
もちろん基本的な考え方は調剤薬局と同じです。

まずはおさらいです。

売上 =客単価 × 客数

式は変わりませんね。
(当たり前ですが…)

 

では実際に客単価はいくらくらいなのか考えてみます。
調剤薬局の場合、
客単価(処方箋1枚当たりの単価)は、
「応需する医療機関の診療科によって大きく変わる」
ということを伝えました。

そして個人クリニックよりも総合病院の単価のほうが高く、
ケースによっては3万円以上の差がつくことを、
お伝えしました。

診療科別処方箋単価

 

 

ドラッグストアにおいても、
もちろん地域や立地条件、
客の年齢層や取りそろえている商品数などにより、
店舗ごとの客単価は異なってきます。
とは言えさすがに調剤薬局のように、
1万円単位で単価が異なることはほぼありません。
差があったとしても数百円の差で納まると思います。

ドラッグストア各社が明確な数字を出していないため、
私の経験上の話にはなってしまいますが、
おそらく1,100~1,600円の間が、
目安の単価になるのではないかと思います。

 

調剤薬局の客単価との考え方の違いとは

調剤薬局とドラッグストアの客単価の違いを考えてみましょう。
まずは単純な比較として、
単価そのものの金額が大きく異なります。

繰り返しになりますが、
総合病院の処方箋単価は3万円以上ですし、
単価が低いとされる眼科や小児科の処方箋でさえも、
4000円以上となります。

単価からみるとドラッグストアの売上に対する効率は、
調剤薬局のそれと比べだいぶ劣ってしまいます。
つまりドラッグストアの売上を保つには、
調剤薬局と比べより多くのお客さんに来てもらう必要があります。

比較して考えてみましょう。
調剤薬局の場合ですが1日の来局患者数が、
100人に満たない薬局も数多く存在します。
それでも経営が成り立つのは処方箋単価が高く、
荒利率もドラッグストアと比べて高いためです。
(荒利率についての話は別でしたいと思います)

もしドラッグストアの1日客数が100人未満の場合、
残念ながら経営は全く成り立たないでしょう。
安定的な売上と利益を保つためには、
出来れば1日平均で1,000人は欲しいところではないでしょうか。

言い換えればドラッグストアの経営体制は、
調剤薬局とくらべ薄利多売の色が強くなります。

 

ドラッグストアの客単価を構成するのは何か

ここからもう少し客単価を掘り下げて考えてみましょう。
想像していただきたいのですが、
もし皆さんが調剤薬局へ処方箋を持っていく場合、
何枚の処方箋をもっていくでしょうか。

多くの場合1枚の処方箋をもっていくのではないでしょうか。
複数も処方箋を持っていくケースは、
まれなケースになると思います。

つまり調剤薬局は患者さん(1人のお客さんとしてカウント)のほとんどが、
「1枚の処方箋医薬品(商品数としては1点)を販売した」
というように言い換えることができます。

しかしドラッグストアの場合はどうでしょうか。
ペットボトルのお茶1本を買いに行くこともあると思いますが、
大抵の場合は複数の商品を購入するのではないでしょうか。

目的としては「洗濯用洗剤」を買いに行ったといても、
店内を回っているうちに、
「そうだ、トイレットペーパーがすくなかってたな・・・」
「ちょっとおかし買っていこうかな・・・」
「シャンプーが安いから予備で買っておこう・・・」
なんて考えながら、
追加で2点、3点と商品と手にすることもありますよね。

 

そうです、ドラッグストアでいう客単価とは、
以下のように2つの項目に分けて考えることができます。

売上 =      客単価           × 客数

   = 買上点数 × 1点当たりの商品単価  × 客数

調剤薬局の場合は多くが1枚の処方箋しか持ってきませんので、
上でいう買上点数は1点となります。
結果として商品単価(=処方箋単価)のみ考えれば事足ります。

しかしドラッグストアの場合は、
複数の商品を複数個購入する場合が多いので、
買ってくれる個数と商品ごとの単価をより深く考える必要が出てきます。

 

ドラックストアで売上を伸ばすにはどう考えればよいか

ドラックストアで売上を伸ばそうとした場合、
先ほどの式から考えれることは、

①買上点数を増やす
②1点当たりの商品単価を上げる
③客数を増やす

になります。
もしくはそれぞれの項目を掛け合わせて売上を増やすことになります。

ただ実際のところ、
②の商品単価を上げることは正直難しいと思います。
というのも一般的なドラックストアのイメージは
「価格が安い」
というところになります。

これまでのドラックストア業界の歴史を振り返ると、
日用品などの価格を下げることで客数を伸ばし、
荒利率の高い医薬品などで利益を稼ぐ
というスタイルで成長を続けてきました。

ですので商品の価格が高い(安く感じない)ドラックストアは、
そもそもお客さんから支持されません。
ですから商品単価をなるべく抑えて、
価格の安いイメージを持ってもらうことで客数を増やし、
かつ1点でも多くの商品を買ってもらうことを突き詰める必要があります。

 

売上を伸ばすにはいかに買上点数をあげるかが重要

客数を増やすためにはチラシや広告、
ポイントセールなどのイベントでお客さんを呼び込むことができます。
商品単価を下げるならパソコンで数字を打ち直せば下がります。
(もちろん上司の許可は取ってくださいね)

店舗の実力の差が生まれるのは、
「どうやって買上点数を増やすか」
にあると私は考えます。

売場の構成や陳列、レイアウトなど、
いかに商品を目立たせてお客さんに興味を持ってもらうか、
そしてそこから購入に結びつけるか、
まさにここが店舗スタッフの腕の見せ所となります。

仮に商品単価が3%・5%下げて販売したとしても、
買上点数が10%・20%と上がるのなら、
各項目の掛算により売上が上がるということになります。

 

ドラックストアはどうしても客単価が、
調剤薬局と比べ見劣りしてしまいます。
ですからいかに多くのお客さんに足を運んでもらうか、
そして1点でも2点でも多くの商品を購入してもらえるのか、
これが重要なカギとなります。

 

今回の内容が少しでも参考になったら嬉しいです。

 

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