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会社って現場勤務よりも本社社員の方が偉いって思っていたら大間違い!~本社と現場の立ち位置を教えます~

「本社(社員)は現場の社員よりも偉い」
こう考えている方、多いのではないでしょうか。

確かに現場で働く方は上からの指示(本社指示)によって動くことも多いですし、
本社社員の方の多くは社内で評価の高く仕事のできる方が配属されるのも事実です。
そう考えると「本社>現場」という構図ができるのも無理はありません。

しかしです。実際は全く違います。
「本社のほうが現場よりもえらい」なんて金輪際捨ててしまいましょう。

今回は「本社は現場と比べて全く偉いはずがない」という話をしていきます。

 

簡単ではありますが少しだけ私の経歴を書くと、
薬学部卒で薬剤師免許を取得し就職。
就職後はドラッグストアや調剤薬局につとめ、
ドラッグストアや調剤薬局で管理者(薬局長)として8店舗
エリアマネージャーとして10年
そして今は課長職として働いています。

もちろん考え方はいくらでもありますので、
世の中にある物の見方の1つだと思ってください。
「こんな考え方もあるんだな・・・」
程度で気楽に読んでいただければ幸いです。

目次
・なぜ本社の社員を偉いと思ってしまうのか
・売上を作っているのは本社ではなく現場
・本社は収支の面から考えると「コストの塊」
・本社は現場にとってどんな存在なのか
・まとめ

 

なぜ本社の社員を偉いと思ってしまうのか

業態や会社により多少は異なるとは思いますが、
大抵の場合まず新入社員として就職すると「現場」からの仕事が始まります。
現場で仕事のノウハウを学び徐々に経験を積み重ね、
評価によっては役職が付き評価グレードが上がり、
さらに昇給していけば支店や本社勤務に配属されていく企業が多いと思います。

私の経験を話すと某大手スーパーやドラッグストアに勤めていたころ、
まずは店舗配属(現場)となりそこで経験を積み、
管理薬剤師や薬局長を務め、
その後本社配属となりエリアマネージャーとして数年間働いた経験があります。

 

チェーン展開している薬局という括りで考えた場合、
いわゆる出世コースを考えると下記のような構図になります。

店舗(現場)→売場長→店長→エリアマネージャー→課長→部長→本部長→社長

会社によっては各役職の名称が異なっていたり、
(エリアマネージャーではなくブロック長やスーパーバイザーなど・・・)
多少の役職の立ち位置の上下はあると思いますが、
大きくはずれていないはずです。

ですから経験の浅い社員は現場で、
経験を積んだ社員や評価の高い社員は本社側
もしくは本社に近い立ち位置での仕事になるというイメージが強いと思いますし、
これは紛れもない事実です。

これが影響して現場と本社との立場として
「本社は現場よりも偉い」
と連想する方が多くなるのだと思います。

売上を作っているのは本社ではなく現場

会社の目標や方針の多くは本社側が考えます。
目標を達成させるために何をどうすべきかを考えるのも大抵本社側が考えます。
現場で働く社員は本社の指示に従って業務を行います。
基本的にはこのスタンスが大半の会社ではないでしょうか。

確かに会社の目標を考えたり方針を決めるには、
それなりの経験や知識、
実績を積んできた方のほうが適任ではあります。
いくら学歴が高く学校で優秀な成績を残した方であったも、
いきなり新入社員の時点から会社の方針や方向性を決めることは難しいと思います。
もちろん中にはできる方もいますが、その人数は圧倒的に少ないはずです

ですから現場から見れば、
様々な経験をした優秀であろう方(上司)から指示を受けることで、
「本社>現場」という構図をごく普通のように感じるのは無理のないことです。
この点だけをみればたしかにこれも一つの事実でしょう。

ではなんで「本社>現場」ではないと言い切ることが出来るのか。
理由は「本社は売上を作ることが出来ない」からです。

 

少し考えてみましょう。
例えば薬局やスーパーといった小売業で考えた場合、
売上を作っているのは現場である店舗です。
店舗で働いている社員が売上を作っています。

あなたの社長は店舗でレジ処理すると思いますか?
あなたの社長は商品の品出しを行っていると思いますか?

 

また別の視点で考えてみましょう。
部品をメーカーなどに卸している下請け工場で働いているとしましょう。
社長は自社の製品を売るために他社に営業を行い、
契約を取ってきたとしましょう。
ここだけをみれば社長は「売上」を作ったことになるとは思います。
ですが、その部品を作っているのは誰でしょうか。
現場(工場)ではたらいている社員です。

どんなに社長が営業をして契約を取ってきたところで、
現場が作る部品がなければ売ることが出来ず売上には全くなりません。

もちろん本社側で働く方は社長だけではありませんよね。
各部長・課長やエリアマネージャーなども同じですよね。

また役職としては一般社員として働く経理関連や人事関連、
システム管理などで働く社員も売上に貢献しているかというと、
そんなことは全くありません。

つまり本社側での売上は0円なのです。

もしかしたら
「いや、うちの社長は店に来て商品の品出しをしているよ」
「うちの社長は工場で部品を作っているよ」
というケースもあると思います。

しかし時間数で見れば明らかに社長が現場に立っている時間よりも、
社員が現場に立っている時間の方が長いはずです。
これは部長・課長においても同じことが言えるはずです。

本社は収支の面から考えると「コストの塊」

先ほどとは少し別の角度で考えてみます。
収支上コスト(経費)がかかるのは何も現場だけではありません。
当たり前ですが本社(もしくは本社機能)だって当然コストがかかります。

項目としては本社の賃貸料や光熱費、
そして何より社長含めた人件費がかかります。
整理すると本社の売上は0円で本社を維持するためにはコストがかかる。

言い換えましょう。
本社は「コストの塊」なのです

本社やその機能を大きくすればするほど当然コストはかさみ、
とはいっても本社が大きくなったところで売上が増えることが決してありません。

よく現場で働いていると本社サイドからよくこんなこと言われませんか。
「売上を増やせ、経費を抑えろ、利益を出せ」
会社ですからね、増収増益を求めてくること自体は何ら問題ありません。

ですがそれを指示してくる本社側の社員は全く売上に反映しないんですよ。
何なら指示を出してきた社員の給料の原資は、
現場で売上を作ることで賄っているのですよ。
本社機能を財政面で支えているのは現場の社員なんですよ。

 

これを聞いてもまだ「本社>現場」と考えますか?
これを聞いて時には本社から出された無茶な指示を黙って受け入れますか?
現場で働いているから本社に対して卑屈になる必要ありますか?

これを読んでいる現場で働く社員の皆様、自信をもって堂々と言ってやりましょう。
「会社の売上を作り会社を支えているのは俺たち現場の社員だぞ!」
ってね。

(あ、でも本当に言うと評価や給料に響くかもしれないので自己責任でお願いします。)

本社は現場にとってどんな存在なのか

そもそも本社の役割とは何でしょうか。
先ほども説明しましたが目標を決めたり方針を示すことは、
本社にとって重要な役割となります。

しかしこれはあくまで一例にすぎません。
もっと大きな視点で考えてみましょう。

本社の一番重要な役割は現場をサポートすることにあります。
なぜ現場をサポートするのか、
それは会社を存続させなくてはならないからです。

繰り返しになりますが、売上を作るのは現場です。
ですからいかに現場が効率よく働けるように機器類を導入したり、
システムを構築したり、
社員の職場環境を整えたりする必要があります。
現場が会社の売上や利益につながる業務や作業にできるだけ集中できるように、
現場の業務環境を整えるのが本社の役割なのです。

例えばスーパーで働いていると必ず発注業務が発生します。
各取引先に発注を行う場合、
現場での発注作業は基本的に必要数量のみを考えて発注するだけです。
発注のたびに取引先と価格の交渉をすることはまずありません。

仮に店舗ごとで取引先と発注のたびに価格交渉するとしたら、
店舗にとって大変な労力になります。
これがチェーン展開しているスーパーであれば、
作業労力は店舗数に比例して掛算で増えていきます。

この作業を無くすために本社側で予め取引先と価格交渉を行い、
現場での労力を減らしより売上につながる業務に集中してもらうのです。

他にもし人員を増やしたい場合は、
本社の人事担当者が募集をかけ採用してくれますよね。
また社員の給与計算は社員自ら行うことはないはずです。
本社で担当の方が処理し税金や社会保険料などを控除したうえで、
皆さんの口座に振り込まれるはずです。

他にも光熱費や賃貸料などの経理関連の処理は本社で行っているでしょうし、
店舗の機器類のメンテナンスや店舗での売上や経費の計算、
そして収支の報告書の作成は本社側で行っているのではないでしょうか。

ここで出したあくまで一部にすぎません。
現場視点から見える・見えないは別にして、
ありとあらゆる場面で本社は現場を支えています。

そして経費をかけるまでして本社が現場を支える理由は、
会社を存続させることにあります。

会社は社員の生活を守らなくてはなりません。
それは単に社員の人数だけ守る訳ではありません。
社員によっては結婚し家庭を持っている方もいます。
独身だったとしても両親や兄弟姉妹の家計を支えている方もいるかもしれません。

会社がもし倒産したとすると、
社員だけでなくその周りの家族にも大きな影響を与えてしまいます。

なぜ本社が目標を決めたり方針を決めたりするのか、
この理由は各社員により物の見方や考え方の違いを乗り越えて、
同じ方向を向いて力を集中させて仕事をすることにより、
業務の相乗効果をねらいできる限り効率よく働いてもらう必要があるからです。

各社員がバラバラに働き一体感を書くような組織、
言い換えれば統率の低い組織はなかなかいい結果を出すことが難しくなります。
できる限り会社の価値観や判断基準を明確にすることで、
業務の効率化を図ることが出来るのです。

 

Going Concern:ゴーイングコンサーンを知っていますか?

会社や企業が将来にわたり、
絶えることなく事業を継続する前提とすることを、
ゴーイングコンサーンと言います。
人は必ず死んでしまいますが、
会社は終わること(倒産すること)を前提にしてはいません。
社長から「この会社あと3年で無くなるからよろしく」
なんていわれたら社員は困りますよね。

そして倒産して困るのは何も社員だけではありません。
もちろん社員の家族もそうですが、
会社を利用してくれたお客さま、銀行や取引先、
株主といった会社に関係した方すべての方に悪影響を及ぼします。

地域や周囲に対して影響力がある会社であればあるほど、
絶対に倒産させてはならないのです。

このGoing Concernを前提として会社方針を決めることは、
本社機能の大切な業務となります

まとめ

私も若いころは、
「本社が偉く現場はその下だ」
と本気で思っていた時期がありました。

しかしいざ実際に本社側で働くようになると徐々に考えが変わり、
自分では売上を作ることはできず、
自分の給料は現場で頑張ってくれた社員によって、
もたらされていることに気が付かされました。

本社側で働くことは偉そうに指示を出すのではなく、
現場の状況をみながら正しい営業活動により、
売上や利益を出してもらえるようサポートすることにあります。

ですから現場で働いている方は、
「現場のほうが下なんだな・・・」
なんて悲観するのではなく、

「現場が売上を作っているのだ、会社を支えているのは我々だ」

くらい自信をもって働いてほしいと思います。

と同時に現場では対応できない、
もしくは対応することが難しい業務を、
本社社員が現場からは見えない場面で行っていることがあることを知っておいてください。

現場が全ての業務を行っているのではないと理解してほしいなと思います。

本社と現場は敵ではありません。
同じ会社に所属する仲間です。
お互いの役割を理解したうえで働くことはとても大切ではないかと考えます。

 

少しでも参考になったら嬉しいです。

 

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