管理職になると思い描いていた仕事と実際の仕事とのギャップに、
戸惑うことはありませんか。
「また社内調整か…」
「この報告、本当に意味あるのか?」
そんなやりたくない雑務に追われて、
肝心のマネジメントに集中できないと感じている方も多いのではないでしょうか。
私自身も店舗管理やエリアマネージャー、課長職などを経験する中で、
やりたくない雑務に悩まされたことが何度もあります。
特に役職についた瞬間から、
同じような業務でも仕事の見え方が大きく変わることがよくあります。
今まさに中間管理職を任されている方、
30・40代に入りこれから役職を任されるであろう立場の人にとって、
「やりたくない=無駄な仕事」
と見える業務をどう捉えるかは重要なテーマです。
この記事では管理職が直面するやりたくない雑務の正体を整理しつつ、
仕事をやりたい・やりたくないではなく、
必要かどうかで判断することを提案します。
管理職が「やりたくない」と感じる代表的な仕事

社内調整や根回しの仕事
管理職になると担当する自部署内での調整はもちろんのこと、
時には他部署とのすり合わせも求められます。
部署間での意見をまとめたり、
現場と本部の意向をすり合わせたり・・・。
一見やりたくない雑務に見えがちですが、
実は組織を円滑に動かすためには欠かせない役割です。
しかしこの調整業務は成果が数字で見えにくく、
評価されにくいのが現実です。
「自分は何をやっているんだろう」と虚しくなることも少なくありません。
形だけの資料作成や無駄な報告業務
「上から言われたから作る」
「フォーマットに沿って埋めるだけ」
そんな報告書や資料に時間を取られていませんか?
確かに必要最低限の報告は組織運営に不可欠ですが、
形式的で中身のない業務は管理職にとって大きなストレスです。
本来のマネジメント業務に時間を割けず、
「この作業に意味はあるのか?」と感じる瞬間は誰しも経験しているはずです。
部下のフォロー・トラブル対応に追われる管理職の悩み
部下からの相談やトラブル対応も、
管理職にとってはやりたくない仕事の代表例かもしれません。
「同じ問題を何度も相談される」
「急な欠勤や人間関係の不和に振り回される」
そんなことが重なると計画的に進めたい仕事が思うように進まず、
苛立ちや疲労を感じることも多いでしょう。
しかし一方で部下の成長や安定はチーム全体の成果に直結します。
フォローの仕方やかかわり方次第で、
仕事の効率やチームの雰囲気が大きく変わるのも事実です。
だからこそ、
- どこまで時間を割くべきか
- どの相談には即対応すべきか
- どこからは本人に任せるべきか
この線引きに悩む管理職は少なくありません。
会議や打ち合わせの準備・参加
どの会社でも会議は日常的に行われています。
しかしその中で、
「本当に有意義だった」と思える会議はどれほどあるでしょうか。
「また会議か…」と感じる方も多いはずです。
準備に時間を取られる割に単なる報告で終わったり、
結論が出ないまま時間だけが過ぎたり・・・。
こうした経験は少なくないでしょう。
参加する立場である以上避けられない業務ですが、
成果に直結しない時間に対して不満を持ちやすいのも事実です。
上層部と現場との板挟み
管理職特有のストレスの一つが「組織上の板挟み」です。
本部や上層部の方針と現場の実情との間で板挟みになり、
どちらにも納得してもらえるように調整しなければならない。
結果として自分の意見をぐっと抑え込み、
双方の意向に振り回されることも少なくありません。
自分の意見や考えだけで動けないストレスは、
知らず知らずのうちに大きな心の負担となります。
会社のため組織のためと割り切っていても、
ふとした瞬間に「自分は何のためにここにいるのだろう」と感じてしまう。
まさに多くの管理職が経験するやりたくない仕事の典型例と言えるでしょう。
そもそも管理職の仕事とは何か

あなたはプレイヤーではなくマネージャーという役割
そもそも管理職の仕事とは何でしょうか。
一般的に管理職を英語で表現すると「manager」になり、
その意味は「管理する人」です。
つまり管理職になる前の働き方は、
「自分が頑張って成果を出す」でしたが、
今は「人を動かし組織として成果を出す」ことになります。
もちろん皆さんが先陣を切ることもあります。
ですが管理職の本質は「組織の成果に責任を持つ立場」です。
スポーツでいえば選手から監督に立場が変わったようなもの。
自分が試合に出て活躍するのではなく、
選手(部下)が活躍できるように支える役割になります。
成果は「自分の仕事量」ではなく「チームの結果」で測られる
管理職になると自分がどれだけの量をこなしたかではなく、
チーム全体としてどんな成果を出せたかで評価されるようになります。
これはプレイヤー時代とは大きな違いです。
たとえば自分が残業して大量の業務を片づけたとしましょう。
もちろんそれはあなたが「頑張った証拠」になります。
しかしこれ自体が組織としての成果や成長と直結するでしょうか。
管理職は「自分が走る」よりも「走れる人を増やす」ことが求められます。
あなた一人が100点分の仕事をしても限界はありますが、
部下が5人いてそれぞれ80点ずつ成果を出せれば合計で400点。
これこそ管理職としての成果です。
つまり管理職の評価軸は「どれだけ自分がやったか」ではなく、
- チームの力をどう引き出したか
- 成果を出せる仕組みをどう整えたか
- 部下の成長をどう支援したか
といった点に移るのです。
管理職は「自分の成果」から「チームの成果」へと視点を切り替える必要があります。
短期の業務と長期のビジョンを両立させる役割
管理職になると必然と業務量が増し、
どうしても目の前の業務に追われがちになります。
売上管理、シフト調整、トラブル対応・・・、
日々の「目先の処理」が次々と発生し、
気がつけば1日が終わってしまう。
そんな経験もきっと多いはずです。
しかし管理職に本当に求められているのは「今を回すこと」ではありません。
長いスパンで物事をとらえ、
会社の取り組むべき理念やビジョンと合致しているのか。
1年後、3年後、5年後のチームや組織の姿を思い描き、
そのために今何を準備すべきかを考えることが重要になります。
例えば、
- 短期視点:今月の売上をどう達成するか、来週のシフトをどう埋めるか。
- 長期視点:会社の目指すべき方向とあっているか、店舗やスタッフをどのように成長させるか。
この両方を同時に考え、バランスをとることが管理職の腕の見せどころです。
短期的な課題ばかりにとらわれてしまうと、
いつまでも現状維持から抜け出せません。
一方で長期的な理想ばかり追い求めても、
現場の実務が回らずチームの成長が途切れてしまうでしょう。
大切なのは今日の業務が未来につながっているか?という視点です。
日々のタスクの積み重ねが、
長期的なビジョンの実現に向けた一歩になっているかを確認し続ける。
これこそが管理職ならではの重要な役割なのです。
なぜ「やりたくない」「無駄」だと感じるのか
日々の業務の中で、
「正直やりたくない」
「意味があるのか分からない」
と思えるものが少なくありません。
ではなぜそう感じてしまうのか、その背景を具体的に見ていきましょう。
作業自体の価値があるのか判断する
上司から資料作成や業務報告を求められる場面は、
どの会社でも日常的にあることでしょう。
しかしその依頼のために多くの時間を割いて作成しても、
一体誰の役に立つのか?と疑問に思うことも多いはず。
例えば会議のためにまとめた資料がほとんど目を通されなかったり、
誰からも質問や反応がなかったりすると、
「この作業に意味はあったのか?」と感じるのは自然なことです。
つまり作業そのものの価値や意義が見えないと、
どれほど時間をかけても無駄な仕事に見えてしまうのです。
作業の先の成果が見えないなら無駄な作業
管理職が「やりたくない」と感じる仕事の代表例の一つが、
成果が見えない作業です。
例えば毎週提出している定例報告や、
決まりきった形式で作る資料。
形式的にやってはいるものの、
実際にそれを読んで改善につなげている人はいるのか?と、
疑問を持ったことはありませんか。
仕事の価値は作業そのものではなく、
本来はその作業が次につながるかで決まるはずです。
しかし報告を出しても見られているのかどうか分からない、
資料を準備しても結論や次の事案につながらない・・・。
こうした場面が続くと、
どうしても無駄なループに感じてしまいます。
実際多くの管理職が、
報告がなくても現場は問題なく動いていたり、
数字はシステムで確認できるのにわざわざ紙や資料に落とす必要があるのか、
と思う雑務に追われています。
成果が見えない作業は、
モチベーションを下げる最大の要因の一つです。
結局誰のための作業なのかが見えないと、
どうしても無駄に思えてしまうのです。
自分の裁量では変えられないタスクの限界
管理職になると「自分の判断で変えたい」と感じる場面が増えてきます。
しかし実際には組織方針や本部ルール、
取引先との関係など、
自分の裁量だけでは動かせない仕事が少なくありません。
例えば、
- 毎月の定例報告や、形式的な会議への参加
- 上層部が指定するフォーマットでの資料作成
- いつの間にか慣例化した、目的の不明瞭なルール運用
- 本部・経営陣からの突発的な指示への対応
こうした業務は、
効率が悪く見えてもなかなか「やめます」とは言えません。
仮に必要性は理解していても、
気持ちとしては正直やりたくないというジレンマに陥りやすいのが実情です。
しかも管理職はそもそも抱える業務が多い。
限られた時間の中で効率よく進めたいのに、
自分の権限では変えられない作業に時間を奪われる・・・、
それ自体が大きなストレスになります。
このもどかしさに頭を抱えているのはあなた一人ではありません。
時間をかけてもリターンが少ないことへの不満
管理職になると目の前の業務だけでなく、
「組織全体にとって必要かどうか」という視点で判断する必要が増えます。
その中で特にストレスにつながるのが、
時間をかけても成果が見えにくい仕事です。
例えば、
- 会議の議案準備に数時間かけても、結論が出ないまま終わる
- 詳細な報告書を作成しても、さらっと目を通されただけで何もリアクションがない
- 部下のトラブルに奔走しても、表立った成果として評価されにくい
こうした「労力とリターンが釣り合わない業務」が積み重なると、
モチベーションが下がり、
「この仕事は誰のために、何のためにやっているのだろう」
と疑問を持つこともあるでしょう。
特に多忙な管理職にとって、
限られた時間をどの業務に配分するかが非常に重要です。
にもかかわらず成果の見えにくい仕事に追われると、
本当に必要な業務に注力できず、
不満や無力感を抱えやすくなってしまうのです。
日の当たりにくいポジションの葛藤
管理職は「責任がある=華やかな立場」と思われがちですが、
実際には努力や成果が表に出にくいポジションでもあります。
例えば、
- 部下のトラブルを水面下で解決しても、「何も起きなかった」ことが評価されにくい
- 部署間の調整で火種を消しても、表立った成果として残らない
- チーム全体の数字は評価されても、その裏でのマネジメントの苦労は見えにくい
こうした影の仕事が多いため、
「やっても報われない」
「意味がないのでは」と感じてしまうのです。
しかし日の当たりにくい仕事こそ、
組織を支える縁の下の力持ちの役割を担っています。
そもそも管理職の立場から見ると、
物事がうまくいっているときは表立った出番が少なく、
むしろトラブルや問題が起きたときこそ腕の見せ所になります。
「成功して当たり前、失敗すれば責任」という構図に、
悩まされる管理職は多いのではないでしょうか。
だからこそ無駄だと切り捨てる前に、
その仕事の必要性をどう判断するかが重要になります。
「必要かどうか”で仕事を選択する 無駄を減らす3つの視点

やりたくないではなく必要だからやる
「やりたくない」と感じる仕事は正直誰にでもあります。
ただその感情だけで業務の価値を決めてしまうと、
本当に必要なことまで切り捨ててしまう危険があります。
たとえば、売上報告や進捗報告。
会議で取り上げられなかったり、
上司から反応がなかったりすると、
「意味あるのか?」と感じるかもしれません。
ですがその資料は上司のためだけでなく、
自分が現状を把握し次の行動を考えるための大切な材料でもあるのです。
どんな仕事も上司に言われたから、
慣例だからではなく、
「組織や自分にとって必要かどうか」で判断すること。
ここを見誤ると、
本当に大切な業務まで放棄してしまう恐れがあります。
誰にとって必要か、組織にとって必要かを見極める判断力
管理職という立場での仕事は必ずしも自分にとって必要でない業務も含まれます。
厳しい言い方をすれば、
あなたの基準の良し悪しで仕事をするべきでないということです。
前の項で伝えた通り管理職として大切な考え方は、
仕事を「必要かどうか」の基準で判断する力です。
さらに意識してほしいのは「誰にとって必要なのか」という視点です。
例えば、
- 上司が状況を把握するために必要な報告
- 部下が安心して働くために必要なフォロー
- 組織全体の方向性を示すために必要な調整
「やりたくない仕事」でも、
誰かの役に立つなら率先してやり抜くことが必要な場合があります。
逆に慣例だから、
とりあえず続けているからというだけで続けている作業は、
本当に必要なのかを疑うべきです。
もし必要でないと判断したのなら、
上司に訴えることも必要でしょう。
これはとてもつらい発言ですが、
組織が良からぬ方向に向かっているのを、
管理職は見過ごしてはならないのです。
必要な仕事であれば感情を超えてやる意味があります。
必要なことをやり抜き、必要でないことは改善する、
その判断力こそが組織を前に進める管理職の価値ではないでしょうか。
やる必要がないならまさに無駄仕事
管理職の大きな役割の一つに、
やらなくてもよい仕事を見抜くことがあります。
日々の業務の中には
「慣例だから」「前任者がやっていたから」
という理由だけで続いている作業が少なくありません。
一つの例で考えてみましょう。
会議用の売上資料を作成しても会議で深掘りされずに終わってしまう、
そんな経験はありませんか?
資料作成は本来とても意味のある業務です。
売上の把握は次の施策を考えるうえで欠かせない判断材料だからです。
ですがそれを基に議論がなされないのであれば、
会議そのものの存在意義が無駄になっているのです。
では会議は必要ではないのでしょうか。
そんなことあるはずがありません。
何せ重要な会議なのですから。
ここであなたが取るべき行動、考えるべき内容は、
「会議を行う意義を高めること」です。
対応としていくつかの考え方があるでしょう、
参加者に改めて会議の意義を確認することも必要かもしれませんし、
もしかしたら会議のメンバーを選別することかもしれません。
もちろん最悪の場合は会議そのものを無くすという判断かもしれません。
- 必要なのに無駄に感じている業務は意味のある業務に変える
- 業務そのものが無駄なのになぜか続いているならば精査をする
結局大切なのはその仕事が、
「誰のために、何のために必要なのか」
を問い続けることではないでしょうか。
まとめ
管理職という立場は、
ときに「やりたくない仕事」に押しつぶされそうになるものです。
しかしそれをただの雑務として受け止めるか、
必要な仕事として意味を見出すかで、あなたの役割は大きく変わります。
どんなに面倒でもそれが組織にとって必要なら、
あなたが引き受けてチームを前に進める。
逆に本当に不要なものなら、
勇気をもって「これはやめよう」と声を上げる。
その一つひとつの判断が、
あなた自身の成長と組織を変える力につながっていくのです。
そうは言っても「やりたくない」「無駄だ」と感じることもあるでしょう。
でもそれはあなたが真剣に仕事と向き合ってる証拠です。
一生懸命だからこそ湧き出る感情だと思います。
だからこそ次に迷ったときは自分に問いかけてみてください。
「この仕事は、誰かにとって必要か? 組織にとって必要か?」
その問いを繰り返すことが管理職としての判断力を磨き、
あなたをさらに成長させてくれるはずです。
ここまで読んでくれたあなたならきっと出来ます。
小さな一歩から始めてみてください。