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薬剤師が知っていてほしい数字のお話 その④~客数について考えてみる~

薬局長を8店舗、エリアマネージャーを計10年を経験し、
現在課長職として働く現役薬剤師のta-sanです。
今までの経験を踏まえて薬局長として知っておくべき知識や、
学んでおくと役立つことをツラツラ綴ります。

 

この内容の対象者として以下のような薬剤師さん向けの内容になります。

・最近初めて薬局長(管理薬剤師)になった方
・薬局長の経験が短い方
・薬局長として働いているが経営数字が苦手な方
・経営数字を学びたいがどう学んでいいか悩んでいる方

 

では今回の内容です。

今回の内容
・客数について考えてみよう
・調剤薬局における客数を考えてみる
・患者さんはどんな理由であなたの薬局を選ぶのか
・患者さんには3つの項目に分けることができる
・患者さんがいかに次回も利用してもらえるかが重要
・ドラッグストアにおける客数を考えてみる
・ドラッグストアも調剤薬局も客数を増やすための考え方は同じ
・ドラッグストアが選ばれる理由とはないか
・ドラッグストアはライバル店との差別化が難しい
・まとめ

 

客数について考えてみよう

今回は客数について考えてみます。

まずはおさらいです。
前回の最後に利益を考えるなら、
「客数」と「客単価」を考える必要があると書きました。

 

下記のように売上は客数と客単価の掛算になります。

売上=客数×客単価

売上を増やそうとするのなら、

 

①客数を増やす
②客単価を増やす

のどちらかが必要です。

 

今回は客数についてもう少し掘り下げて考えていきましょう。
なお調剤薬局とドラッグストア(物販)では、
お客さんが店舗を選ぶ理由が異なりますので、
別々で考えていきます。

 

調剤薬局における客数を考えてみる

まず調剤薬局のケースで考えていきます。

調剤薬局おける客数と客単価の意味は以下になります。
(今回は客単価の話は説明のみにします)

客数  = 処方箋枚数
客単価 = 処方箋1枚当たりの単価

 

多くの調剤薬局の場合、
売上のほぼ大半を占めるのが調剤による売上です。
もちろん物販商品もおいているとは思いますが、
調剤による売上に比べれば、
正直微々たる金額になるのではないでしょうか。

私の肌感覚になりますが、
もし物販の売上比率が3%以上あれば、
相当販売に力を入れていると考えます。
多くの店舗は1%ほどにしか売り上げていないと思いますよ。

調剤薬局の売上のほとんどは処方箋枚数による影響を受けますので、
客単価は処方箋1枚あたりの単価金額になります。

 

 

患者さんはどんな理由であなたの薬局を選ぶのか

少し本題から離れますが、
患者さんは薬局を選ぶ理由を考えtことがありますか?

客数(処方箋枚数)は言い換えれば、
世の中に数ある薬局の中において、
あなたの薬局を選んでいただいた患者さんの支持の数とも考えることができます。
ではどんな理由であなたの薬局を選んだのでしょうか。

答えは簡単です。
はっきり言いましょう。

 

調剤薬局を選ぶ理由の1番は立地です

 

受診した病院から距離の近いや薬局を選ぶのが1番の理由です。
薬剤師の方ならよく理解されていることでしょう。

 

「いや、そんなことはない。」
「うちの薬局は接客もいいし、
投薬もしっかり行っているから来てもらえるのだ」

 

と考えている方もいるかもしれないですが、
残念ながらそうではありません。
もちろんこれも0ではありません。
なので反論したい気持ちはよくわかりますが、
ではなぜ病院の近くに多くの薬局が建っているのでしょうか。

そして自店舗で応需している医療機関を調べてみましょう。
一番多く応需している医療機関は、
あなたの薬局から1番近い病院やクリニックになっていませんか。

立地で薬局が選ばれているという現状を見たうえで、
いかに自店舗に多くの患者さんに来てもらうかを考えなければ、
なかなか簡単には患者数を増やすことが出来ないのです。

 

患者さんには3つの項目に分けることができる

薬局における客数は処方箋枚数だとお話ししました。
とは言え処方箋を持ってくるには患者さんですから、
患者数の動向を考える必要があります。
ここではもう1つの式を考えてみます。

 

客数 =   ①初めて来局した患者数
     + ②いつも利用してくれる患者数
     - ③去って行ってしまった患者数

①は新患数と言えばわかりやすいでしょうか。
②は一般的に言うリピーターになります。
③は残念ながら一時は利用していたけど、
何らかの理由で薬局を利用しなくなった客数です。

 

改めて式を考えると、

客数=①+②-③・・・になります。

 

例えば薬局を新しく開設したとしましょう。
始めのうちは①の患者が多数を占めます。
やがて①の患者さんが繰り返し利用するようになり
②のリピーターになるわけです。

しかしずっとリピーターでいてくれればいいのですが、
患者さんにとって他の薬局を利用するメリットが高くなると、
利用する頻度が少なくなり、
やがて③の来局しなくなる客数になります。

つまり①と②の患者数を増やし、
③の患者数を減らすことができれば
トータルでの患者数は増えることになります。

 

 

患者さんがいかに次回も利用してもらえるかが重要

新患数が増える理由として、
近隣の医療機関の患者数が増加することがあげられます。
しかしいつかは医療機関で診察できる患者数にも限りがありますので、
新患数が永遠に増え続けるということはあり得ません。

では薬局の努力で新患数を増やすことはできるでしょうか。

もちろん策が無いわけではありませんが、
私の経験上簡単にはいかないと思います。

これを読んでいる薬剤師の方で患者さんを増やすために、
「営業」した経験のある方はいるでしょうか。
イメージしやすい例でいえば、
現時点で応需の少ない病院への営業です。

正直ほとんどいないのではないでしょうか。
私も他人様のことを偉そうには言えませんが、
自分で病院へ乗り込み営業をして、
その影響力で患者数を増やした経験はほぼ皆無です。

いいか悪いかは別にして薬局の新患数が増える理由は、
調剤薬局の場合、門前の病院患者が増えた時か、
近くに新たに医療機関ができた時のみと言っても
過言ではないでしょう。

であれば患者数を増やそうと考えた場合、
店舗でやるべきことは、

 

②のリピーターの数を増やすこと
③の去ってしまう患者数を減らすこと

がメインの対策となります。

今利用している患者さんにとって、
自店舗を利用するメリットをどう感じてもらうのか、
利用するメリットをどう増やしていくのかが、
とても重要になります。

 

 

ドラッグストアにおける客数を考えてみる

ここからはドラッグストアについて書いていきます。
もちろん基本的な考えは調剤薬局と同じです。

 

客数  = 店内で買物をした人数
客単価 = 1回の買物で購入した合計金額

ここは難しくないですよね
客数に関しては「レジで会計された回数」と置き換えても大丈夫です。

 

客単価についてですが、
調剤薬局と異なる点として、
1点当たりの商品単価と買上点数の考え方も必要になるのですが、
それは別の機会で書きたいと思います。

 

客数を増やすにはどうすればいいか考えてみましょう。
考え方は先ほどの式と全く同じです。

客数 =   ①初めて来局した客数
     + ②いつも利用してくれる客数
     - ③去って行ってしまった客数

 

表現が変わっただけで意味は全く同じですね、
①と②の客数を増やし、
③の客数を下げていくことが求められます。

 

 

ドラッグストアも調剤薬局も客数を増やすための考え方は同じ

①を増やすために薬剤師ができることは何か。
これも残念ながら店舗でできることはほどんどありません。

「今までお店を知らない方に対し、来店してもらい利用してもらう対策」

を考えてパッと何かアイデアは浮かぶでしょうか。

 

周知させるにはチラシをまいたり、
SNSなどの広告を出すくらいでしょうか。
ポスティングもそれなりの効果はあるとは思いますが、
店舗で働いている薬剤師が行うのは大分大変ですよね。

実際にはドラッグストアの企業規模はかなり大きいですから、
広告部隊は店舗ではなく別の部署で賄いますし、
個店ごとの対策というよりは、
広域エリアを対象とした広告を出しますので、
(わかりやすい例でいえばテレビCMやSNSなど)
店舗単独で何かを行うという意味合いは薄まりつつあります。

 

よって調剤薬局と同じように、

②のリピーターの数を増やすこと
③の去ってしまう客数を減らすこと

をどうやって行うべきかを考えなくてはなりません。

 

ドラッグストアが選ばれる理由とはないか

ドラッグストアを選ぶ基準は何になるでしょうか
調剤薬局と異なり要因は多数あり、
それが複合的に混ざり合って判断されます。

・価格
・家(職場)から行きやすい立地
・商品の品ぞろえ
・ポイントカード
・営業時間帯・・・などなど

 

ドラッグストアの場合、
選ぶ基準は調剤薬局よりも項目が多く、
これらが複合的に絡み合って判断されるのですが、
必ず上位にランキングされる理由は価格となります。
一般的なイメージとして「ドラッグストア=安い」ということなのでしょう。

 

 

ドラッグストアはライバル店との差別化が難しい

ドラッグストアを選ぶ理由として、
価格の比重は大きいと書きました。
なるべく安く商品を買いたいという思いは
年代や性別を超えて共通した認識となります。

なので正直いうとドラッグストア間において、
店舗ごとの差別化を図るのは
このご時世、非常に困難です。

なぜ困難なのか?

あなたの店舗で販売している商品のほとんどは、
ライバル店においてある商品と全く同じ商品だからです。

 

どういうことですか?と思った方多いと思います。
説明しましょう。

例えばお客さんから鎮痛剤であるロキソニンを求められたとしましょう。
あなたは商品の説明をし、
効果や飲み方、注意事項などを説明するはずです。
その説明を受けてお客さんが購入に至るわけですが、
もしお客さんからこんな質問を受けたとしたら、
どう答えますか?

 

「ここで売っているロキソニンと、
隣のドラッグストアで売っているロキソニンと、
どちらがより効果が高いですか?」

 

答えは「全く同じ」ですよね。
なぜなら商品が同じだからです。
あなたの薬局のロキソニンも、
ライバル店のロキソニンも、
同じメーカーで作られた全く同じロキソニンです。

つまりどこのドラッグストアで買っても同じ商品というわけです。
商品の効果についての有意差は全くないのです。

こうなるとお客にとってどこで買うかの判断は、
ずばり価格になります。
ちょっと考えれば当然ですよね、
どこのロキソニンを購入しても同じ商品なのですから。

なので商品の差別化を図るには、
簡単に考えるなら価格差をつけること、
もしくは価格差を補う何らかの「付加価値」を感じてもらうことが、
重要になるというわけです。

 

 

今回は客数について考えてみました。
ここでも考えるべき式は難しくないですし、
計算は足し算と引き算しか使用していません。

ただ実際に客数を増やそうと思うと、
店舗ごとの対策はなかなか至難の業と言えます。

今回は少しだけ客数を増やすための考え方にも少し触れましたが、
あくまでさわり程度になりますので、
より詳しい内容や対策は、
また別の機会で書きたいと考えています。

 

今回のまとめ

客数(患者さん)は3つの項目に分けることができる

客数 =   ①初めて来局した客数
     + ②いつも利用してくれる客数
     - ③去って行ってしまった客数

店舗で考えるべき対策は、
②を増やし、③を少なくすることを考え行動する

 

少しでも参考になったら嬉しいです

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