薬局長を8店舗、エリアマネージャーを計10年を経験し、
現在課長職として働く現役薬剤師のta-sanです。
今までの経験を踏まえて薬局長として知っておくべき知識や、
学んでおくと役立つことをツラツラ綴ります。
今回は薬局長になって最初に心がけること
についてお話します。
この内容の対象者として以下のような薬剤師さん向けの内容になります。
・最近初めて薬局長(管理薬剤師)になった方
・薬局長の経験が短い方
・薬局長として働いているが経営数字が苦手な方
・経営数字を学びたいがどう学んでいいか悩んでいる方
薬剤師向けの話になりますので、
いわゆる調剤薬局をイメージした内容になりますが、
ドラッグストアの物販薬局長の方でも、
理解できるように説明します。
今回の内容
・まずは数字を使うことから始めよう
・数字を使うということのメリットとは何か
・「価値」と「価値観」を理解する
・まとめ
まずは数字を使うことから始めよう
「初めて薬局長になったけど経営の知識なんて全くない・・・」
こんな悩みを抱えている方多いと思います。
私も今までの経験上、
何人もの方から相談を受けてきました。
かく言う私もかつてはその1人でした。
薬剤師の方は薬の勉強はしてきたけど、
「経済や運営の学問に全く触れる機会がなく過ごしてきた方」
が多いと思います。
不安を持つのは当たり前です。
何事も初めて行うことは初心者ですから、
知らなくて当たり前、
わからなくて当たり前です。
大事なのは小さくてもいいから一歩を踏み出すことです。
少し前置きが長くなりました。
さっそく始めましょう。
薬局長になったらまず最初に何をすべきなのか・・・
実はすでに答えを書いています。
この項のタイトルにある通り、
「まずは数字を使うことから始める」
になります。
数字を使うとはどういう意味か。
それは会話に数字を取り入れて使うということです。
この世の中には非常に多くの数字が存在しています。
そして数字は生活の身近に、
というか誰もが数字のない生活は送っていないほどの身近な存在です。
一番身近な数字と言えばお金です。
買い物をする際は必ずお金を数字で考えるはずです。
「スーパーでキャベツ1個200円でかった」
「今月の携帯料金が4000円だった」
「ボーナスのご褒美で5万円の時計を買った」
何気ない内容でも全部数字で考えているはずです。
他にもたくさんあります。
時間を表すときは「1日=24時間=1,440分=86,400秒」
長さを表すときは「1㎞=1,000m=100,000㎝」
重さを表すときは「1kg=1,000g=1,000,000㎎」
量を表すときは「1L=10dl=1,000ml」
また「20代」と表記すれば、
特定する集団を表すことにもなりますし、
「上位60%」と表示すれば、
ある集団をさらに条件を付けて分けることもできます。
このように数字に囲まれた生活を送っているはずですが、
この数字を意識して生活しているかが実はとても重要です。
経営の数字が苦手という多くの方は、
普段から意識して数字を使っていない方が多いと感じています。
数字を使うということのメリットとは何か
意識して数字を使っていないとはどういうことか。
普段働いている職場での会話を思い出してください。
私が店舗に訪問するとこんな会話が多く飛び交います。
「昨日患者さんが多くて忙しかったんです」
「天気が悪かったので心配しましたが売上が良かったんです」
「今月の○○商品の販売個数やばいですよ」
何となく伝わっているような気がしますが、
実は全く伝わっていないんです。
少なくとも私にはよくわからない・・・
私の頭の中では・・・、
「昨日患者さんが多くて忙しかったんです」
→お客さんは何人来たの?
「昨日天気が悪かったのですが売上が良かったんです」
→売上が良かったとは金額いくら?
「今月の○○商品の販売個数やばいですよ」
→何個売れたの?そもそもやばいってよかったの?悪かったの?
?マークがいくつも頭の中を巡ってしまいます。
例えば最初の文章で「お店の忙しさ」はどれくらいなのか、
もし数字を使って表現すると・・・
「昨日患者さんが200人来て忙しかったんです」
全然印象が変わりませんか?
数字を使うことで明確な基準がわかります。
この人は200人の患者さんが来ると忙しく感じるのだということが、
明白に理解できるようになります。
そしてもう一つわかることが、
話を聞いた方(受け手)の忙しい基準と照らし合わせることができるのです。
もしこの文章を調剤薬局で働いている方が見れば、
ほとんどの方が自店舗の状況と比べて
「確かに忙しいだろうな・・・」
と思うはずです。
実際の調剤薬局では1日の患者数が、
100人に満たない店舗が多く存在するからです。
しかしドラッグストアに勤めている方からすると、
「いやいや、1日に200人しかお客がこない店なの?」
と思うはずです。
私の経験にはなりますが、
ドラッグストアに勤めていた店舗はすべてで、
客数が1日平均1000人を割った店舗はありませんでした。
もしドラッグストアで1日200人しか客が来ない店舗があれば、
すぐに閉店判断されられたことでしょう。
そもそも自分が持っている物事の基準は、
他人の基準とは全く異なるということなのです。
自分の基準と他人の基準が違うということは、
自分の「忙しい」という基準を相手に伝えなくてはなりません。
そこで便利なのが数字を使うことなのです。
「価値」と「価値観」を理解する
数字を使う最大のメリットは「価値」が共有できることです。
しかし日常の会話は自分の「価値観」で話すことがほとんどです。
「価値」と「価値観」を区別することはとても重要です。
どういうことか。
誰しもが1万円札を持っていれば、
性別や年齢関係なく1万円分の買い物ができます。
当たり前ですよね。
1万円札は誰に対しても1万円という「価値」を与えてくれます。
しかしこの1万円札で何を買うのかは、
個人ごとに異なるはずです。
例えば趣味で使う1万円と、
全く興味のないものに使用する1万円では、
1万円に対する「価値観」が変わるはずです。
私でいえばキャンプギアに使う1万円は、
すぐに財布のひもが緩んでしまいますが、
私が全く興味のない、
子供たちが好きなアイドルグッツに対しては、
簡単には財布の紐が緩むことはありません。
ようはどちらも同じ1万円を使うにしても、
私にとっての「価値観」は
「キャンプギア=価値があるもの」
「アイドルグッツ=価値を感じないもの」
になるということです。
先ほどの話を戻すと、
「昨日患者さんが多くて忙しかったんです」
では、単にあなたの「価値観」を伝えているだけになります。
そしてあなたの「価値観」は世の中で誰1人として把握していません。
どれくらい忙しかったのかという基準も根拠も示されていません。
これではあなたの忙しい基準を把握なんてできるわけがないんです。
なので物事は全く通じてはいません。
「患者さんが200人」
と会話に入れることで「価値」が示されます。
しかも明確に伝わります。
繰り返しになりますが、
200人は誰にとっても200人ですからね。
「一般常識の200人は私にとっての500人だ」
なんていう人いませんから。
まとめ
数字を会話に取り入れる大切さが理解されたでしょうか。
最初はなかなか数字を意識して会話することが、
とても難しく感じるとは思いますが、
だんだんと慣れていきますし、
気が付いた時にはおそらく無意識に使っていることでしょう。
数字を意識すると普段得られる情報や目にする情報が、
いかにあいまいな情報が多いかわかってくると思います。
そして「価値」と「価値観」を理解すると、
プレゼンや表現力も格段に良くなります。
普段の会話に数字を取り入れてみよう
「価値」と「価値観」を分けて会話ができるとより
少しでも参考になったら嬉しいです。
おすすめ書籍
もし少しでも「数字」に興味を持たれた方に、
今回は3冊の本を紹介します。
会計士の方が書かれた本なので、
経営で使用する数字の話はもちろんですが、
日常の生活における何気ない数字の話が書かれていますので、
肩を張らずにスラスラ読める本になっています。
「ちょっと3冊読むのはたいへんそうだな・・・」
と思った方は最初の1冊だけでもOK!
数字を意識するというきっかけに必ずなると思います。