もし私が部下に
「昇進や出世をしたほうがいいですか」
と聞かれたら迷わずこう答えます。
絶対に昇進したほうがいいです。
ただ実際には、
「私は昇進したくない」
「出世なんか気にしていない」
そう考えている方が多いのではないでしょうか。
世間一般でも出世や昇進に対して、
あまりいいイメージがわかないという風潮もありますよね。
出世や昇進について検索すると、
まあマイナスのイメージばかりの記事をよく見ます。
良いイメージがあまりないんだろうなということを容易に想像できます。
ですがあえて私は言いたい。
昇進すべきかどうか聞かれたら絶対にするべきだと。
間違いなく断言できます。
じゃあなんであなたはそう考えるの?ってなりますよね。
いくつか理由はあるのですが、
昇進後にすぐにでも感じるメリットとして、
「自分でルールを決められる(変えることが出来る)」
があります。
つまり裁量権を持てるということです。
目次
・最初に知っておくべき会社(職場)にあるルールの話
①社員全員に課せられるルール
⓶ある一部の集団に課せられるルール
・昇進するということは裁量権が与えられるということ
・職場には多くのローカルルールであふれている
・昇進してすぐにでも感じるメリットは「裁量権」
・環境を変えることが出来るのは昇進した者(裁量権を持った者)のみ
・まとめ
最初に知っておくべき会社(職場)にあるルールの話
①社員全員に課せられるルール
なぜ裁量権を持つことがいいのか。
ルールを自分で決められることがどんなメリットになるのかを説明します。
会社には大きく分けて2つのルールがあります。
皆さんは会社のルールと言われたらどんな内容を想像するでしょうか。
すぐに思いつくものとしては就業規則ではないでしょうか。
どの会社や組織にもありますよね。
例えば勝手に遅刻・早退しないとか、
会社の備品を持っていくなとか、
決められた時間内で働きなさいとか、
社会人として当たり前の内容から会社の文化や社風を含めた規則です。
他にも給与規則や服装規則、休業規則など、
会社ごとに複数決められていると思います。
これらの規則やルールは全社員に対して課される規則です。
性別や年齢、部署や役職問わずその会社に属している社員なら、
誰もが守らなければならない規則です。
もし就業中に飲酒をしてはならないという規則があれば、
誰が飲酒したとしてもアウトです。
「一般社員の飲酒はだめだけど、部長の俺ならOKだ」
なんて通用しないですよね。
以上が1つめのルールとなります。
つまりその会社に属する全社員に適応されるルールというものです。
⓶ある一部の集団に課せられるルール
では2つ目のルールは何かというと、
ある一部の部署や集団のみに適応されるルールです。
ローカルルールと言えば少し想像しやすいでしょうか。
例を出しましょう。
会社の稟議ルールで、
「課内において1万円以上の経費を決済する場合は課長承諾を必須とする」
という社内規則があったとします。
この場合人事課でも教育課でも開発課でも総務課でも、
どの課においても課長承諾が必要になります。
ですが、この規則では決済には課長承諾は必要だということを決めてはいるものの、
課長承諾までの業務の流れを細かく明記されているわけではありません。
承諾までの方法やルールまで規則には明記されていないということです。
こうなると必ずローカルルールが発生します。
ある課長は、
「A41枚の報告書を必ず作り直接面談すること」
を部下に求めるかもしれませんし、
ある課長は、
「目的と見積書をメールで提出すること」
を求めるかもしれません。
つまり会社の規則から見れば、
「決済を判断する方法は各課長に任せるよ、裁量権を各課長に与えるよ」
ということになります。
ですから、
「人事課では報告書が必要だけど、開発課では見積書だけでいい」
といったある部署や集団のみに適応されるローカルルールが発生します。
これが2つ目のルールになります。
昇進するということは裁量権が与えられるということ
仮に1つめのルール(就業規則など)を見直したいと考えた時、
あなたは変更することが出来るでしょうか。
当然簡単に話が進むわけはないですし、
変更するには相当な覚悟と労力が必要になります。
そもそもそれなりの役職にならなければ議題にあげることすらできません。
役職でいったら社長や部長レベルでしょうか。
会社の規模の大きさや考えにもよるでしょうけど、
課長以下のレベルでの対応はできないでしょう。
ですが2つ目のローカルルールはどうでしょうか
少なくとも課長に昇進すればこのルールを変更できます。
前任者が決めたルールがあまりにも細かすぎると感じたなら簡素化すればいいし、
逆にあまりにもずさんな管理をしていて不正される心配があると判断したなら、
自分で細かくルールを決めればいいだけのことです。
昇進するメリットの1つに裁量権が与えられるという意味は、
「適用される範囲は限定的ではあるものの自分の判断でルールを決めることが出来る」
という権利が与えられるのです。
職場には多くのローカルルールであふれている
皆さんの職場を一旦見渡してみてください。
よく見ると様々なローカルルールが存在するはずです。
下記のようなローカルルールが職場にないでしょうか。
・無駄だと感じる作業がやたら多い
・どんな効果があるのかわからない作業がある
・意味があるとは思えない文化や風習がある
・業務成果に対してあまり関係のないルールが存在する
・何の目的でやっているのか誰にも答えられないルールがある・・・などなど
これらのルールは一見するとさほど大きな問題でないかもしれません。
またその環境に慣れたがゆえに、
そもそも疑問すら浮かばないルールかもしれません。
しかしこの何気ない、なんてことないルールの積み重ねが、
職場の雰囲気を壊していたり、あなたの時間を食いつぶしていたりしませんか。
「なんか面倒くさいな・・・」
「こんな事やっていて何になるのだろうか・・・」
こんな職場で働いていても楽しくないですよね。
ストレスが溜まる一方です。
このローカルルールを見直しができる裁量権が、
実はものすごく大きな影響力を及ぼすのです。
昇進してすぐにでも感じるメリットは「裁量権」
私が20代の頃の職場の話です。
納品伝票の対応についてこんなルールがありました。
伝票の処理方法
・必ず当日に伝票入力を行うこと
・同日内に別の社員が入力内容を確認すること
・毎月15日と月末日にそれまで入力した伝票を再度確認すること
・取引先から請求書が届いたら再度一通り内容を確認すること
「いやいや、うちら社員は何回伝票確認すれば気が済むのよ?」
と、正直めまいがしました。
しかも職場の方にどうにかなりませんかと言ったところで、
「しょうがないじゃない、決まり事だから」
としか返ってきませんでした。
当時の上司に変更を訴えてみたものの、
「俺が来る前からやっていることだし、伝票金額を間違えると俺が怒られるから」
と返事があるだけ。
その時感じたのは、
「この人がいなくなるまではこのルールは変わらないな」
という感情でした。
しかし3か月ほどたつとその上司が退職することになり、
私がその方の代理として引き継ぐことになりました。
真っ先に行ったのは先ほどのローカルルールの改善です。
もちろん細々した他のローカルルールも、
自分の業務がやりやすくなるように変更していきました。
ルール変更の目的は自分自身の仕事のためではあったのですが、
変更することでほかの社員やパートさんに、
「ルール無くしてくれてありがとう」
「無駄な作業が無くなって助かった」
とちょっとした感謝すらされたのです。
正直言って大した改善なんて行ったわけではありません。
先ほどの伝票処理のルールであれば、
・当日に伝票入力をすること
・翌日に前日入力した金額と伝票の金額が一致するか確認すること
・請求書が届いたら合計金額が正しいかの報告をすること
に変えただけです。
全くもって難しい改善をしたわけではないのです。
ですが、周囲には好評でした。
なぜなら作業の短縮・改善が実感できたからだと今になって思います。
「役職が上がるということは(昇進や出世)、自分で決められること(裁量権)が増える」
ということをこの時初めて身に染みて実感しました。
そして他から見て大したことなさそうな改善だとしても、
そこに属する社員から見ればストレスを軽減できることを実感したのです。
環境を変えることが出来るのは昇進した者(裁量権を持った者)のみ
どんな会社や組織でも多かれ少なかれ必ずルールや規則は存在します。
理由は人の数だけ物の考え方や物事の見方が異なるからです。
ルールや規則がなければ人は同じ方向を向いて、
何かを行うことが非常に難しくなります。
ではルールや規則を誰が決めるのか、
良し悪しの判断するのかといえば、
その組織内で力をもった人です。
簡単に言えば地位や立場が上位の人達です。
そしてルールには大きく2つに分けることが出来ます。
組織の根幹となるルールと、
一部の集団で適応されるローカルルールです。
もし不満に感じている決まりごとがローカルルールであるなら、
あなたにもそのルールを変えることが出来ます。
そのローカルルールを適応させている上司の地位まで上り詰めればいいのです。
そうすればこのローカルルールの支配から逃れることが出来ます。
はっきり言って一般社員の立場でルールを変更しようと考えても、
おそらくほぼルールは変えられません。
確かにあなたが上司に訴え続けることでルールが変わることもあるでしょう。
しかしそれはあなたがルールを変えたのではなく、
裁量権をもった上司の判断が変わったにすぎません。
あなた自身がルールを変えるには、
「裁量権」を手にしない限り変わることはないでしょう。
余談として・・・
「ローカルルールではなくそもそもの会社の考え方が合わない」
と感じている方のやるべきことは3つです。
- あなたが社長にでもなって根幹となる考え方を変える
- 自分の考え方に近い会社に転職する
- フリーランスや自分で起業する
そもそも考えの合わない会社に勤めること自体が無理なはず。
だったらさっさと会社から去ったほうが、
ストレスを減らす最適な方法です。
忍耐強い方なら社長まで出世するのも手ですが、
会社の規模があるにしても、社長まで上り詰める才能のある方なら、
もしかしたら独立する方が早いかもしれませんね。
まとめ
改めてですが昇進すべきかどうかを問われたら、
私は迷わず昇進するべきだと答えます。
昇進や出世して裁量権を持ったほうが持たないよりも、
働きやすい環境ですごすことが出来るはずです。
もちろん裁量権が大きくなればなるほど責任も大きくなりますが、
だからと言って責任が増えるから昇進したくないと簡単に考えるのではなく
自分が持てる分だけの裁量権の範囲まで昇進や出世をすればいいだけの話です。
頭ごなしに昇進することを否定するのではなくて、
ちょっとだけでも昇進することを考え直してみてはいかがでしょうか。
昇進することは裁量権を持つということ
裁量権がなければどんな小さいルールでも変えることは非常に難しい
少しでも参考になったら嬉しいです。