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薬局の利益構造を根本的に見直す時が来た

現役薬剤師のta-sanです。
今のポジションは課長職。
現場目線よりも少し経営的な視点でダラダラ書きます。

 

新年度が始まり早くも1か月が過ぎました。
今年は調剤報酬改定の年でもあったため、
改定により薬局の売上がどう変わるのか、
収益状況はどう変化するのか、
気になった方も多いと思います。

基本的に国の薬局ビジョンは変わったわけではありません。
いわゆる対物業務から対人業務への流れは続いていますし、
今後も当然続いていきます。

またいわゆる門前薬局からかかりつけ、
そして地域連携への流れも、
これまで通り進めていくことでしょう。

薬局ビジョン

(厚生労働省HPより)

 

しかし今回の改定により、
今までの技術料の考え方がガラリとかわったのは事実です。
前回までの「調剤料」の概念が全く変わりました。
より対人業務に対して点数が付くことになり、
いかに薬剤師が患者業務に従事してもらいたいのか、
国の意図が強く表れた改定内容だと感じています。

とはいえ実際の算定配分は、
基本的には(旧)調剤料→(新)調剤管理料
にスライドされたので、
多くの薬局ではそれほど売上に大きく関与したことにはなっていないのだろうと思います。

大手薬局さんは調剤基本料の見直しにより、
厳しい算定になった薬局もあるようですが、
地域支援体制加算が条件ごとに算定できる幅がふえ、
技術料単価が上がったという薬局も相当数あると考えます。

私の勤める会社でも全店平均の技術料単価は、
僅かではありますが前年と比べ増加しました。
皆さんの勤め先でも同様の結果が出たのではないでしょうか。

店舗ではなく少し経営者側で働く私としては、
売上に大きな変化がなかったことは一安心ではあるのですが、
気になっている点があります。
気になっているというか、
相当な危機感を感じているといった方が正しいかもしれません。

 

何かというと医薬品の納入価です。
この時期はどの企業でも医薬品の納入価は、
暫定価格で伝票上処理していると思いますが、
明らかに値入率が悪くなりました。

もちろん暫定数字ではあるのですが、
とにかく各卸の反応が鈍いこと、鈍いこと・・・。

以前に今の医薬品流通の状況について書きましたが、
もちろん今の卸さんがどうゆう状況にあるかは理解しているつもりでしたが、
おそらく私(薬局側)から想像していた状況よりも、
卸さんの経営状況は相当苦しいのだろうと感じています。
まだ各社決算が出そろっていないので、
その数字をもって判断したところですが、
すでに薄利多売の状況にあるので、
各社そこから脱却したいのが本音なのでしょう。

この値入率の悪化は直に薬局の経営に大きく響きます。
少し数字に詳しい方ならわかると思いますが、
いわゆる薬価差が出ないとなった場合、
多くの薬局で赤字に転落するのではないでしょうか。

 

厚生労働省のデータによれば、
処方箋1枚当たりの単価は9,849円に対し、
技術料は2,467円で25.0%となっています。

処方箋単価

仮にですがもし全く薬価差がなくなったとなれば
技術料(荒利率25%)で損益分岐点を計算しなくてはならなくなります。
荒利率25%と言ったらドラッグストアの物販の粗利率と、
ほぼ同じ率になるのではないでしょうか。

特に調剤薬局は人員に関して薬剤師比率が高いため、
ドラッグストアに比べ当然人件費も高くなります。
調剤薬局のほうがより分岐点が上がることは明らかです。

さらに調剤薬局の場合、
医療用医薬品の購入には消費税がかかります。
これも地味に痛い・・・。
値入率が悪ければ消費税の支払いを加味すると、
逆ザヤになったなんてことも起きてくる可能性があります。

こうなってくるとそもそもの薬局の収益構造を変える必要が出てきました。
大手さんなら資金も豊富にありますから、
調剤薬局以外の収益性を求めて、
多角経営ができるのでしょうけど、
私の勤めている会社のように、
中小薬局ではそう簡単にはできません。

そもそも多くの薬局では売上の95%以上は、
外来処方箋に頼っているでしょうから、
在宅関連の売上を伸ばすか物販を伸ばすのか、
いずれにしてもいくつかの蛇口がないと、
厳しい状況になってきました。

さらにより効率的な働き方も必須でしょうね。
薬剤師1人当たりの投薬数を増やさないといけない。
極端な話、経営者から、

薬剤師は薬さわるな!(調剤するな!)
投薬1日40人やってこい!

なんて言葉が飛び交ってもおかしくない状況・・・。

ここまで長々と書いてきましたが、
本当の意味で1番危機感を感じているのは、
店舗所属の薬剤師に対してです。

私の立場上チョイチョイ店舗に顔出して、
数字の話をする機会を作るのですが、
上記のような話をしても、

「へー、そんなんですか・・・?」

と危機感0・・・。

 

いやいやもしかしたら今働いている職場が赤字になるかもしれないんだぜ。

 

赤字が続いたら店舗なくなるかもしれないんだぜ。

 

別の店舗に簡単に異動できると思わないほうがいいぜ。
(貴方が優秀な人材なら別だけど)

 

アンタその時はリタイア宣告されるかもしれないんだぜ。

 

「クビになったら隣の薬局で勤めよう」と思っても、
その薬局もなくなっているかもしれないんだぜ・・・。

 

 

少なくとも私より若い方は危機感持っていてほしい。
そしてどうすべきか行動に移してほしい。
もうさ、何も考えていない年配の薬剤師なんか無視して、
どんどん行動に移してほしい。

 

まあちょっと愚痴が長くなりましたが、
構造上でやるべきことは店舗オペレーションの変更だと認識してます。
あとは如何に従業員を巻き込んでいくのか・・・、
これが一番ネックなんだろうな・・・

 

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